ミュージックアワー【BE:FIRST】

8-1 ギフト ページ47

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そういえば高校では文化祭の準備期間に入った。
うちの高校は毎年11月の1週目の土日に行われるのが通例で、今年は2年ぶりに在校生と関係者のみで開催される。


うちのクラスはなんでも、今流行りの“イカゲーム”というドラマに出てくるキャラクターのコスプレをして、ゲスト参加型の擬似デスゲームをするらしい。
(はちゃめちゃだ)







「みてこれ」

「…………ブッ！」




日高さんに例の件の返事をした日の午後、お茶のペットボトルに口を付けるリョウキくんの視界に自分のスマホを入れたら、途端に吹き出す仕草をした彼。




「なっ、なにそれ！」

「イカゲーム？っていうドラマの」

「だよねイカゲームだ！ははっ、え？なんで？」




スマホの中には、“001”と左胸に書かれた緑のジャージを着た私。その両サイドにピンクのつなぎを着たなゆりちゃんと、黄色の丸襟にオレンジのワンピースを着た田中くんが立つ写真。ちなみに3人してShining Oneの締めのポーズをしている(これは田中くんのリクエスト)




「文化祭でイカゲームやるらしい。私は出れないからって、当日の衣装を特別に着せてもらったの」

「えやばいね。ねえみんな、ちょっとこれ見てっ」




リョウキくんが呼びかけると、メンバーがわらわらと集まってくる。




「ちょっ、まじで？」




と控えめに笑ったジュノンくんの声をかき消すような「はははっ！」というソウタくんの大きな笑い声。




「俺ちょうど昨日こいつ出てくる回見たんだけど！」




と言って田中くん扮するツインテールの女の子を指差す。これは“だるまさんが転んだ殺戮マシーン”らしい。何やねんそれ。




「……ミヅキちゃんの学校ってやばい学校なの？」

「高校生って大体こんなもん」

「陽キャしかやんねーよ」




一緒にすんなと舜斗は言う。あ、じゃあ僕はやらないわ、とリュウヘイも頷いた。ちょっと待ってよ2人していきなり距離取るじゃん。




「陽キャとかじゃないし」

「となり金髪じゃん」




否定してるのに、舜斗がなゆりちゃんを見て言うからマナトくんも続けて「ふつーの高校じゃあんま見ないよね」と呟いた。




「俺金髪だったよ！」

「リョウキくんは……うん、そんな感じ」

「ミヅキはジャージでも可愛いねぇ」

「ありがとうレオくんほんとに好き」




突拍子もなく、レオくんは事あるごとに私を“可愛い”という。
いつも照れくさくて、決まり文句みたいに「好き」と返してしまう。お返しって事じゃないんだけど、私もレオくんに習ってみんなが格好いいと思ったときには、素直に口にするようになった。



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