7-5 ページ46
.
会ってどうしたいとか、会うべきなのかとか
そもそも私は“父親”というものに会いたいのか
日高さんから話を受けて1週間考えても、結局答えは出なかった。ただ、叔母さんが言うように『自分(達)を捨てて逃げた人に、逃げなかった自分を見せつけてやる』っていうのはまあ……理由付けにはもってこいなのかもしれない。
それすらも義理はないっていう気持ちは、一旦心の隅に置いておいて。
「そっか。うん、分かったよ」
デビュー日も差し迫る10月中旬のある日。
日高さんに返事を持っていったら、彼は少し考え込むような、よく読めない顔を浮かべた。
「それで、会う時期なんだけど、今後のことも考えると……デビュー前の大事な時期ではあるけど なるべく早い方がいいと思う」
日高さんがいう事に小さく首を縦に振る。
「先方のご予定も聞いて、今月中の土日のどこかで良いだろうか」
「お任せします」
日程に特にこだわりはないから、そっか デビュー前に会うんだ。って思ったくらい。
「…………ミヅキ、」
「？」
話がついたと思っていた会議室の中、日高さんが改まって名前を呼ぶので 少し視線を上げる。
「……君が今の状況をどう思っているかは、正直全てわかるわけではないけど
もしも迷ってしまうようなことがあるなら
その時に必ず思い出して欲しい。
この会社の人間は、僕やBE:FIRST……スタッフも含めて、どんなときでもミヅキの味方だからね」
私の態度が気になったのか、改めて言い聞かせるような言葉。分かってる。日高さんは決して敵じゃない。
ただ、育ってきた環境が違いすぎて 彼を見ていると、自分は家族というものに対して 淡白なんじゃないかって後ろめたさがあるだけ。
「……すみません。上手く話せなくて」
日高さんは“なにが？”とは聞かなかった。その代わりに私の背中に手を当てて、ポンポンと優しく叩いてくれる。
(普通でいられたらいいのに……)
後ろ向きな事まで簡単に共有できたらどんなに楽なんだろう。
オーディションの時もそうだった。楽しさや嬉しさは簡単に表せるのに、悩みを打ち明けるのが 私にとって本当に難しい。
(喉が詰まったみたい……空気が薄いな……)
こんな時は世界がほんの少しだけ、息苦しい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白(プロフ) - ゆきさん» わーっ、嬉しい🥰 特別な立ち位置にいるシュントくんがこれからどんな活躍をするのか…他のメンバーがどのように食い込んでくるのか、楽しみにしていただければと思います。 (2023年4月7日 23時) (
レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 珠菜さん» まとめて更新するとなかなか早いですね笑 今後はどんどん不定期になっていきそうな予感です…次回もお楽しみに！ (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 新しく更新してもらえるたびに、テンション上がってしまいます！！更新チェックが最近の毎日の日課にっています(笑)今回のシーズンは改めてシュントの関係が今まで以上に主人公にとって大きいものだなぁと感じてドキドキもしてます (2023年4月7日 12時) (レス) @page50 id: f1ac1c79d7 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - もう続編なんですね！！早い！！リルティングの方とはまた違った楽しみができて嬉しいです🥰次も楽しみにしてます！！ (2023年4月6日 19時) (レス) @page49 id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - そうまなさん» ありがとうございます！時期的にはまーぜるくん達はまだまだ先になりますが…いずれ😳 リルティングアワーのほうが先に登場するかもです(小声) (2023年4月6日 18時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白 | 作成日時：2023年3月21日 18時
