ミュージックアワー【BE:FIRST】

6-1 予想外の知らせ ページ37

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10月に入ると、デビュー前怒涛の追い込みが始まった。
メンバーそれぞれラジオやテレビへの露出が増えるスケジュールを見て、ああもう待った無しなのだなと改めて思う。




「ノートコピーしとくでな」

「ほんまにありがとう。ほんっまに助かる」

「大袈裟やって。あんた1ヶ月休んでも結局学年4位やったやん」




夏休みに一緒に夏期講習を受けてから よく話すようになったクラスメイト、“なゆりちゃん”が放課後に声をかけて来た。

ありがたい申し出に、手のひらを顔の前で合わせて拝む。




「せやねんけど、ノートがあるのとないのじゃ全然ちゃうねん」




そう言えばなゆりちゃんは「あたしのノート汚いけどねー」と笑った。

明日は東京でMTV Live Matchがあるので、学校をお休みしなければならない。ついでに言うと、明後日と明明後日に仕事が立て込んでいて、次に登校できるのは週明けなのだ。




「ほな、行くわ」

「あ、踊家さん。あたし美専行くことにしたから」

「…………ん？」

「元々進学する気なかってんけど、踊家さん見てたらあたしも何かしたくなったんよ。だから一応報告」

「……そうなんや。……ええね。頑張ろね」

「ははっ、」




ほんまにクールやん。って、なゆりちゃんは続ける。

“私を見ていたら”って言葉がそのまま『ミヅキに影響を受けた』って言われてるような、なんだかこそばゆい感じがした。





＊





数時間後の96ブラハウス。

明日はライブだから塩分の高い物は(顔がパンパンに浮腫むので)やめよう。と話し合った結果、私は今3人分のおろし豚しゃぶサラダを作っている。




「今日機嫌よくね？」

「ボク？」

「いや、みづ」




鼻歌まじりにブロッコリーを湯がく私を見て、ダイニングに腰掛けた舜斗が一言。の横で何の疑いもなく、自分の話題だと受け取ったリュウヘイのリアクションに思わず吹き出してしまった。




「今日ね、学校でね」




自分でもわかるくらい弾んだ声で、今日なゆりちゃんに言われたことを話せば、自分のことのように共感してくれる2人に嬉しさは増して。




「へへっ、ほんまに嬉しかったぁ」

「……」

「……俺多分いまシュントと同じこと思ってる」

「は？意味わかんね」

「耳赤いけど」

「うっせーな」




少し声のトーンが落ちた会話は丸聞こえで。リュウヘイの言う通り舜斗の耳が赤いのかはよく分からないけど、なんでそうなっちゃったのか思い当たる理由は勿論あって。




(へー、可愛いやん舜斗)




幼馴染のはしゃぐ姿に見惚れたん？とニヤニヤと視線を向けたら、「早く作れよ」と目を細められた。あれ、その顔は全っ然可愛くない。




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