ミュージックアワー【BE:FIRST】

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言うなれば、転校生が来たときの光景に似ている。
集合時間が近付くにつれて続々と集まってきたメンバーが、物珍しそうに内野くんの周りを囲うのだ。

リョウキくん以外の面子が勢揃いしたところで、「BE:FIRSTだぁ」と声を漏らした内野くんはとことん可愛かった。




「さぁさ、ビーファはこの後ユアマイでしょ。そろそろ準備しようか」




しばし嬉しそうに見守っていた日高さんが声をかけると、「とりあえず寝癖直そうか」と、ソウタくんがスタッフさんに連れて行かれて。




「上行っとく？」

「うん」




マナトくんに誘われて、2人して真っ先に二階に上がる。下ではまだメンバーが内野くんを構っていて、賑やかな声が聞こえてきた。




「同じチームだったのに人見知りしてる？」

「えへへ」

「否定せんのや」




マナトくんは意外と人見知りらしい。“意外と”っていうのも、私との初対面での彼には人見知りの「ひ」の字もなかったからだ。




(……合宿んときはマナトくんなりに頑張ってたのかなぁ)




まじで人見知りそうな様子に、ふとそんな事を考えてしまう。あのだる絡みの全てが、頑張った末の行動だったのだとしたら、今となっては愛おしい。




「あ、そういえばレベル5まできた。チームの色選べって言われてんだけど、ミヅキ何色なの？」

「赤やで。マナトくんも赤にしよ」

「そうする」




マナトくんが隣で起動したスマホゲーム画面を覗き込んで、彼がチーム選択するところを見守る。「レイドやってみたい」と彼が言うから、じゃあ今日の昼にちょっと近所を散歩しようよと誘った。




「相棒ヘルガーになってる」

「そう。犬格好いい」

「きのみあげたらボールから出てくるんだよ」

「まじか」




どうやんの、教えて。とマナトくんが少し身体をこちらに寄せてくる。差し出された画面の上に指を滑らせて「何個かあげてみて」と言ったら、ものすごい勢いできのみを投げはじめた。




「おー、いいっ。ほら、かっけぇ」




フィールド画面に出て来て、マナトくんのアバターの後ろにピッタリくっついて動かないヘルガー。
この子が後ろをついてくる様子に喜ぶ姿を早く見てみたい。





忙しい中でも楽しみを共有して、
日々新鮮さを感じながら目まぐるしく過ぎていく。






今思うと この頃はただ純粋に、その関係と日常が心地よかった。

私はまだ、自分を取り巻く環境がどういうものなのか
本当の意味では気付いていなかったのだ。









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