ミュージックアワー【BE:FIRST】

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会話の中でボソッと、「おない……」と呟く内野くん。




「……あ、そうそう、内野くんも関西出身なのよ」

「へ？」

「イントネーションに反応したんでしょ？違う？」

「あ、そう、です。ハイ」




どことなく遠慮がちだが、素直に首を縦に振っている。
ああそうなんや、所属アーティストに関西勢がおらんかったから、それはちょっと嬉しいかも。



内野くんはどのようなご用件でこちらへ？と聞いていいのか分からず、ひとまず日高さんに着いていくようにスタジオ部屋を出た。

見計らったようにモモヨさんがアイスティーをグラスに入れて、ダイニングに腰掛けた私達3人の前に置いてくれる。




「練習の邪魔しないのって、言ったんだけどねぇ。社長は内野くんにミヅキを自慢したかったみたい」

「…………やだぁ、キュンってする」

「こらミヅキ。だめだめ」




困ったように、顔の前で何かを払う仕草をする日高さん。

モモヨさんも交えて話すときは、彼は少しだけ普通の人に見える。“頭が上がらない”って雰囲気を、日高さんが彼女に醸し出しているからなのかも。




「何がダメなのよ、良いじゃないですか」

「イケメンが照れてますね」




2人の雰囲気が面白くて、つい一緒になって悪ノリしてしまう。

どんな関係なのかな？って、思うけど 私は自分からそういうことを聞けない。知ってるのは お互い20代からの仲って事くらいで、(それだけじゃなさそう)っていうのは私の勘。




「あーあ、女の子集まるとこれだから困るね内野くん」

「…………ははっ……」




女の子が集まることより、返事に困っている様子の内野くんが苦笑いをする。「今日は見学だけですか？」と聞いたモモヨさんの口ぶり的に、彼女はなんで内野くんがここにいるのかを知っているみたい。




「……あの、内野くんって、」

「あー、ふふっ。ミヅキにはちゃんと紹介してなかったね。彼はルイ達と同じ、練習生としてうちに参加してもらうことになったんだ」




日高さんが優しく内野くんの肩に手を置けば、紹介された彼は照れくさそうに小さく口角をあげて、幅広の肩をキュッと狭めて「よろしくお願いします」とお辞儀した。




「そうなんですね！嬉しいなぁ、よろしくお願いしますっ」




ちょっとだけ意識的な笑顔でそれに応える。
歓迎している気持ちは嘘じゃないから、少しでも早く向こうが心を開いてくれるように。「大阪会場ちゃうやんな？出身どこ？」と聞いたら、「兵庫です、神戸会場で」と教えてくれた。




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