ミュージックアワー【BE:FIRST】

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「舜斗、」




Aの呼びかけにジトっと見上げる目が、「はい」と差し出したミニトマトを見て少しだけ光が戻ると「あ、」と大きく口を開けた。

そんな口にミニトマトを指で押し込んでから、自分の口にも同じものを入れる。「つまみ食い！」と声がかかって、振り返ったAは礼王にペロリと舌を出した。




「すわる」

「こっち」




舜斗がそうパタパタと足を動かすので、寝転んだ体の足側に周れば、一瞬膝を立ててAが座るスペースを作る。そして彼女が腰を下ろすと遠慮なくその太ももの上に脚を伸ばした。




「もー…」

「んも〜」




有無を言わせない重みに不満げな声を上げるAの真似をしながらニヤリと笑う。そんな様子を間近で見せられた真人、竜平、凌輝の3人。仲良しで何よりだなと思う。







「どっちが勝ってるの？」

「おれ」

「え、珍しい」

「いやいや。ウイイレは大体いつも俺が勝つ」

「そうなの？」

「僕が手加減してるんだよ」

「わお、リュウちゃん よくできた子」




絶対ぇちげーだろ。と言いながら口角を上げて、それでも画面から視線を外さない真人。対する竜平はコントローラーをガシャガシャ鳴らしながら画面に齧り付いていたのだが、Aがソファーに座るとおもむろに立ち上がって彼女の前まで移動し、そのふくらはぎに寄りかかるようにラグに腰を下ろした。




「クッションあげよか？」

「これでいい」




ハーフパンツで露わになっているAの生足に遠慮なく寄りかかる竜平。

(流石に俺はできねーな)と凌輝は内心思った。自分やソウタ…というよりこの中じゃ竜平以外がやると何か生々しい。清らかな彼を羨ましく思うと共に、いつまでこんな光景が見れるんだか…としみじみしてしまう。






結局壮大までもがソファの肘置きに腰掛け Aの頭に腕を乗せてサッカーゲームを観戦した。
3人に囲まれてAは少しの間身じろぎも出来ない状況だったのだが、これも慣れたものである。

10分もすれば「出来たよー」と声がかかり、餌の音を聞きつけた犬のように飛び上がった舜斗がピョンピョン飛び跳ねながらキッチンへ向かった。




「「「「いただきまーす！！」」」」




8人がテーブルを囲い手を合わせる。と言っても全員が座れるほど大きくないので、年長組はソファーに並んで座り、膝の上に皿を置いた。




「んふ〜〜っ！」




口いっぱいに具材を頬張り、鼻から抜けるような幸せのため息をつく舜斗。次いでAも「美味しい！」と言うと、ソファーの2人は満足そうに微笑んだ。



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