ミュージックアワー【BE:FIRST】

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まだ外が明るいうちにレコーディングが終わって、ほど近い所にあるダンススタジオに移動してきた。
2ヶ月後から始まるファンミーティングに向けて、今度はkick startのコレオを作らなくてはいけない。




「つーか1限飛ばすなら明日の朝帰るでもいいよな」

「1限出ないって前提がありえん」

「まじめか」

「舜斗が不真面目なだけや」




新幹線の最終に乗るには、後2時間ほどでスタジオを出る必要がある。今は晩御飯を食べる時間も惜しいという意見は8人で合致して、私達は今週も新幹線の中での食卓になりそうだ。




(駅弁買う時間あるかなぁ……)




東京駅って、本当に全国各地のご当地駅弁が集結していると思う。今日は先週仙台牛タンと迷って諦めた北海道海鮮丼がいいなぁ……




「みづ、ご飯のこと考えてるでしょ」

「………………えへへ、バレたぁ」




シューズの靴紐を結びながら、舜斗がこちらを見上げた。口元が緩んでいたのか、意識が飛んでいる目をしていたのか。この幼馴染はほんとよく気付く。




「ね、今日海鮮丼買っていこやぁ」

「いいね」




隣にしゃがみ込んで、ごく近くで視線を合わせる。作戦会議をするみたいに話を持ち掛ければ、キラキラした目が頷いてくれた。リュウヘイも静かに寄ってきて「海鮮丼？」と反応する。




「北海道海鮮丼、先週見つけてん」

「雲丹入ってるかな。雲丹食べたい」

「入ってたら贅沢だねぇ」




はて、パッケージに雲丹は描かれていたかな？と考えても思い出せなかった。腰を上げた舜斗と一緒に立ち上がる。

鏡の前で既に準備万端のメンバーの横に立ち、流れていたデモ音源に合わせて昨日までに出来た振りを軽く流していけば、それは自然と構成になっていった。







＊






「…………あ、」

「うおっ、あーあ、気を付けて」




踊っている最中にベリッと音がして、違和感があって足元を見やれば シューズの底が大きく剥がれていた。こんな事になるもんなのかと唖然とする。

思わず足を止めると他のメンバーも動作をやめて、レオくんはよろめいた私に気を遣って手を出してきた。




「うわすげぇ一気に剥がれたな」




レオくんに支えられて足の裏を確認した私にソウタくんが一言。左足のシューズはこれもう使い物にならないなぁ。




「ごめん。予備持ってきてない」

「ああ……裸足でやるか？」

「え？」




言い終わるかどうかのところでリョウキくんがシューズを脱ぐと、それを面白がるようにマナトくんとジュノンくんまで脱ぎ始めた。

滑って危ないからと靴下まで脱ぎ始めたわけだけど、こんなの、見るスタッフさんによっては怒りそうだ。



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