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10月頭に先行配信されることが決まっているkick startは、クリエイティブ審査で使用したトラックをそのままに、メンバー全員で制作をし直したもの。
下手すれば聞く人より、歌ってる自分達に一番届くものだ。
(やっぱリュウちゃん声変わってきてんのよなぁ……)
レコーディングスタジオでは、日高さんがミキサーの前に座って、ブースにいるリュウヘイとあれこれやり取りしている。
つい2ヶ月前にaddicted artのレコーディングをした時より、低いところが安定してきたリュウヘイの声。ついに声変わりが終わりに近付いているのかなと感じた。
「またメモしてる」
「ん?ふふっ、うん」
「俺のとこに付いてる記号ってどういう意味?」
「どれ?」
「これ」
「あー、これはねぇ……」
ベンチで私の隣に座っていたマナトくんが、私の歌詞カードを覗き込んできた。彼が言う“また”というのは、オーディション時代のBe Freeでの事を言っているのだろう。
何を隠そう、今回私が一番最後にレコーディングしたいと言ったのも、変わってきたみんなの歌い方を再分析したいと思ったからで。
彼らの一番近くで歌声を聞いてきて、その癖や活かし方もよく理解したつもりではいる。しかしデビュー曲の本レクを控えたこのタイミングでもう一度、しっかり聴き込んで合わせ方を模索した方がいい。
そう思うほどまでに良い意味で、それぞれの歌声は急速に変化してきているのだ。
「さあミヅキ、いけそうかな?」
リュウヘイに続いて、ソウタくんリョウキくんと終わって、日高さんがこちらを振り向く。視線が一瞬私の手元にある歌詞カードに向いて、小さく頷かれた。
「いけます」
「うん。ミヅキはそのままコーラス成分まで録っちゃおうか」
「……あ、はい」
自分のパートだけ録って交代していった他のメンバーに目配せをする。「ミヅキのスペシャルコーラスを見せてよ」と日高さん。……わあ、とんでもないプレッシャーだ。
歌詞カードを机に置いて立ち上がる。手に水だけ持ってブースに入ろうとする私に、「メモ持ってっても良いんだよ?」と日高さんが声をかけるが、ううんと首を横に振った。
「無しでいけます」
メモは頭を整理するために書いていただけ。
みんなの歌声、どんな感情や技術をこの歌に散りばめたかは耳の奥に残っている。
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白(プロフ) - ゆきさん» わーっ、嬉しい🥰 特別な立ち位置にいるシュントくんがこれからどんな活躍をするのか…他のメンバーがどのように食い込んでくるのか、楽しみにしていただければと思います。 (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 珠菜さん» まとめて更新するとなかなか早いですね笑 今後はどんどん不定期になっていきそうな予感です…次回もお楽しみに! (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 新しく更新してもらえるたびに、テンション上がってしまいます!!更新チェックが最近の毎日の日課にっています(笑)今回のシーズンは改めてシュントの関係が今まで以上に主人公にとって大きいものだなぁと感じてドキドキもしてます (2023年4月7日 12時) (レス) @page50 id: f1ac1c79d7 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - もう続編なんですね!!早い!!リルティングの方とはまた違った楽しみができて嬉しいです🥰次も楽しみにしてます!! (2023年4月6日 19時) (レス) @page49 id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - そうまなさん» ありがとうございます!時期的にはまーぜるくん達はまだまだ先になりますが…いずれ😳 リルティングアワーのほうが先に登場するかもです(小声) (2023年4月6日 18時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年3月21日 18時