ミュージックアワー【BE:FIRST】

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税理士の資格を持っている経理のスタッフさんと、お給料の話をしたのはまだ夏休み中の頃だった。今年に入ってからのアルバイトの明細を全て提示した結果、『バイトしてないシュントは今年はギリ扶養内。ミヅキはアウト』との事で、私は今年自分で確定申告をしなくてはいけないらしい。

この話には、私も舜斗もリュウヘイも、ポカンと口を開けてしまった。『もちろん手続きはこちらでやるけどね。お金のことだからしっかりしよう』という、きっと日高さんがそう言ったんだろう口上のもと、マネジメント契約でもらう賃金の話をしたのだ。



そして時が少し流れた9月中旬の今日。


先程ソウタくんとTシャツの攻防を繰り広げていた私達とは違うところで、他のメンバーはどうやら最近買った物の話をしていたようで。




「ミヅキは初任給何に使ったの〜？」

「スマホ代と駐輪場代とスタジオまでの交通費」

「…………え、それだけ？」

「大体そんな感じ」

「俺とランちゃんの苦労が……！」




私に話しかけてきた流れのまま、膝からソファに崩れ落ちたリョウキくん。自分のスマホが潰されそうになって、咄嗟に手で拾い上げる。
彼がいう“俺とランちゃんの苦労”それは、先月敢行された表参道ショッピングの事を指しているのだろう。




「お洋服の買い物楽しいかも〜って言ってたやん！」

「ゆったけど……かと言っていま別に欲しい服も無いしな。あん時リョウキくん達が結構買ってくれたし」

「…………ミヅキの可愛さにテンション上がってた過去の俺たちバカヤロウッ！」

「いやそんな、自分を責めんでも」




まあまあ、と派手に落ち込むリョウキくんの肩を撫でようとしたら「自分のTシャツを買え？」とソウタくんが横槍を入れてくる。




「これいくらくらい？」

「6000円」

「たっっっっっか！！！マジで？！」

「キミはそのたっっっっけぇTシャツを平気で拝借してんだわ？」

「ホンマにありがとうねそーちん」

「お礼言えるのマジ大事だな」

「マナトまで甘やかすな」




偉いな。とマナトくんが私とソウタくんの間に腰を下ろしてきた。夏だというのに、3人掛けソファにこれで4人目。「近い、見てるだけで暑苦しい」と言ったのはジュノンくんだったかリュウヘイだったか。




「そんな事より」

「そんな事より、だあ？」

「ふふっ。今日のレク私最後でも良い？」

「おっ、なんだどうしたぁ」




それぞれ別の方向を向いていたメンバーの視線が、一気に私に集中する。まあそんな注目されるほど大した理由でもないんだけど。




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