3-3 ページ23
.
“表に出ることのない最終審査”
このSUPER SONICへの出演を知らされたときに、確かに日高さんはそう言っていた。
デビューが決まった状態のBE:FIRSTが、聴衆を前にどのような姿を見せられるか。
私達は今日のステージの裏で、彼に試されているのだ。
「…………ふぅ、」
リハーサルを終えてひと段落ついた頃、辺りのざわめきが大きくなってきた。エリアが開場され、ステージのすぐ向こう側に沢山のお客さんの気配がする。
マイクを握りしめて深く息をする私の横に、知った香りの彼がきた。
「……それ、付けてでるの？」
見上げた舜斗の首元に、細いシルバーが光っている。これは、数日前の彼の誕生日に私から贈ったドックタグ。衣装を合わせる時に外すのかなと思っていたが、結局本番前まで付けたまま。
余談だが、『どこで買ったんそれー？』と聞くメンバーに、何故だか私から貰った事を舜斗は言わなかった。不思議に思いつつ、彼なりのジンクスを込めていそうで 理由を聞き出す気にはなれなかった。
「言ったでしょ。外せないって」
「……それじゃあ首枷みたいだよ……」
「それで良いんだよ」
衣装の上から、胸元に仕舞い込んだタグを握って祈るように目を閉じている。“首枷で良い”って、どういうつもり？
「円陣。円陣すっぞ」
ソウタくんが大きな声でやってきた。おかげで心で感じた疑問は舜斗に問いかけられないまま、目を開けて振り返った彼に習うように、私もメンバーを振り向く。
「いい緊張感」
「間違いない」
ガシッと、マナトくんの腕が肩に乗り、反対から舜斗の腕も乗ってくる。その重みに負けないよう足を踏ん張って、2人の腰の辺りの布を握りしめた。
「………………今日は誰のために歌う？」
レオくんの澄んだ目が、キラキラの光を帯びて私に向く。
「ここにいるお客さん。それから、
……カメラの向こうにいる あなた。」
確かに答えた私に、レオくんは満足そうに頷いた。
そして私以外の一人一人に視線を向けて言うのだ。
「俺達BE:FIRSTが何のために生まれてきたか、皆さんにちゃんと見てもらおう。落ち着いて、空気を感じて、心から楽しもう」
ああ、ざわめきが更に膨らんでいく。
あの幕の向こうに、何千という人が、私達を待っている。
「……決めたやつ、覚えてるか？」
ソウタくんが誰に言うでもなくニヤリと笑えば、つられて私達の口角もあがった。
それぞれが右腕を出し、人差し指を真っ直ぐと上げる。
スッと、ソウタくんが息を吸う。
「Let's go！」
「「「「「BE:FIRST！！」」」」」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白(プロフ) - ゆきさん» わーっ、嬉しい🥰 特別な立ち位置にいるシュントくんがこれからどんな活躍をするのか…他のメンバーがどのように食い込んでくるのか、楽しみにしていただければと思います。 (2023年4月7日 23時) (
レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 珠菜さん» まとめて更新するとなかなか早いですね笑 今後はどんどん不定期になっていきそうな予感です…次回もお楽しみに！ (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 新しく更新してもらえるたびに、テンション上がってしまいます！！更新チェックが最近の毎日の日課にっています(笑)今回のシーズンは改めてシュントの関係が今まで以上に主人公にとって大きいものだなぁと感じてドキドキもしてます (2023年4月7日 12時) (レス) @page50 id: f1ac1c79d7 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - もう続編なんですね！！早い！！リルティングの方とはまた違った楽しみができて嬉しいです🥰次も楽しみにしてます！！ (2023年4月6日 19時) (レス) @page49 id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - そうまなさん» ありがとうございます！時期的にはまーぜるくん達はまだまだ先になりますが…いずれ😳 リルティングアワーのほうが先に登場するかもです(小声) (2023年4月6日 18時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白 | 作成日時：2023年3月21日 18時
