ミュージックアワー【BE:FIRST】

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「何玉くらい茹でる〜？」

「5が限界じゃない？」

「足らん足らん」

「5玉を3回茹でようよ」

「え、15玉？ミヅキどんだけ食うつもりなん」

「てかうちそんなにうどん無いからね！」




キッチンに立つ礼王と樹音がリビングで座るメンバーに声をかければ、待ってましたとばかりにAと壮大が立ち上がって寄ってきた。

何玉をお前が食べるつもりなんだと、ドン引きの表情を見せる壮大。それを気にせず無遠慮に冷凍庫を開けてうどんの個数を数え「……10個しかない」と悲しそうな声を出したAに、礼王は慌てて「買いに行ってこようか？」と甘やかしモードに入った。

一人暮らし男性の家に冷凍うどんが10玉もある時点でおかしいという事実はおそらくこの中だと樹音くらいしか気付いていない。




「足らなかったらUberしたらいいじゃん」

「……Uber高いんだもん」

「まあ、そうだけど。じゃあ一緒に買いに行く？」




樹音に言われて「ううん」と首を横に振るA。今は空腹で食欲が爆発してるだけで、冷静に考えたら10玉できっと充分満足できる。

「後でなんかつまむからいいや」とAがいえば、樹音は一瞬考えを巡らせるように視線を逸らし「……ほどほどにね」と返した。体型維持のことが頭をよぎったのだろう。しかしAはどれだけ食べても今まで体型を崩したことがないので杞憂だという結論に至った。




「みづ、お菓子とって〜」




3人掛けのソファを占領してぐでーっと寝転んでいる舜斗。相当にお腹が空いているのか、その様子に覇気は全くなく一歩間違えればソファのクッションと一体化してしまいそうなほどだらけ切っている。




「ないよ」

「あー？さっき買ってたじゃん。知ってるよ俺」

「……ご飯前にお菓子食べちゃだめ」

「あ゙ーーーっ……」




舜斗の心情を明確に表したかのようなエッジボイス。いや、そんなとこで発さんでええて。とAが突っ込むよりも前に、TVゲームに齧り付いていた竜平が画面を見たまま笑い「断末魔聞こえた」とその声に触れた。





「双子ちゃん揃いも揃って食欲旺盛ね」

「育ち盛りなの」




突然オネェ口調になった礼王にAはテンプレを返した。




「おうおう、どんどん成長してくれ」

「ソウタ追い越しちゃうかもね」

「それはだめ」




樹音の一言に敏感に反応した壮大がAの頭の上に手を置いて押し込むように力を込める。その衝撃でギュッと目を閉じたAは膝を曲げてスルリと逃れると、シンクの中にあった洗いたてのミニトマトを２つ取ってリビングの方へ足を向けた。



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