2-5 ページ20
.
「いててて、ちょ、力強い」
「もっといけるやろー、がんばれしゅんとー」
「お前……ほんと……くっ、」
大きな背中の上に両肘をついて体重をかける。「ミヅキ目がイキイキしてる」「意外とSだな」とメンバーが言っているのも聞きながら、数秒容赦ない柔軟で追い込めば、身体を起こしたとき舜斗は涙目になっていた。
「もうみづとストレッチすんのやだ」
「私とやるんが一番手っ取り早く柔らかくなるし」
「……ねえ、こいつ見てると小学校んときの担任思い出す」
私を指差しながら舜斗がリョウキくんに不満を訴えた。「小学校ぅー?」と、意味がわからなそうに笑っている。
「みづの事贔屓してた先生。柔軟うるさかったんだよ、こいつみたいに ぐいぐい…」
「な、次背中やろー」
「やだよ。……こっちくんな」
「んん〜、!じゃあ私の方伸ばしてよ」
「それならいいよ」
ニヤッと笑って今度は舜斗が私の後ろに回る。
両足の裏をくっ付けて胡座を描くように腰の方に引き寄せる。「膝押さえて欲しい」と言ったら、後ろから両手が伸びてきて私の両膝を地面に押し付けた。
「くぼりや兄弟み増してきたよな」
「言えてる」
ソウタくんとマナトくんの会話に思わず視線を上げる。「なあそういえば、皆なんでその呼び方知ってるん?」と半笑いで聞けば、ソウタくんがリュウヘイを指差した。
「ボクが教えた」
「ああそうなん。」
聞けば、最終審査の準備期間中にリュウヘイが私と舜斗の動画を見ながら“くぼりや、くぼりや”と言っていたんだとか。
リュウヘイは何故か私達2人の関係性に興味津々で、96blackで練習してた頃に昔話をよくさせられていた。
「その呼び方作ったのもみづ贔屓の担任」
「贔屓って言い方やめて。舜斗も可愛がられてたよ」
「お前の付属品でな」
「付属品の方が偉そうだった、痛っ!」
「大丈夫か?」
「ねぇ、あんたが痛くしてんの!」
両膝を抑える手のひらで捻るように押されて、柔軟と関係ない痛みが走る。“偉そう”って言葉が気に入らなかったらしい。
「ボチボチ始めますかー」
そんな中聞こえたレオくんの呼びかけで、8人が自然とフォーメーションを取る。流れてきたイントロでスッと、ふざけていた空気は消えていった。
『── あの日夢物語と笑われた その夢を越えるため走りだそう』
BE:FIRSTになって改めて撮り直した音が流れ始める。
自然と動く体に、あの日々に輝いていた仲間たちの魂が宿っていく。
To The Firstは私にとってそういう曲。
私はステージに立つとき、まだTHE FIRSTの中にいるみたいだ。
.
178人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白(プロフ) - ゆきさん» わーっ、嬉しい🥰 特別な立ち位置にいるシュントくんがこれからどんな活躍をするのか…他のメンバーがどのように食い込んでくるのか、楽しみにしていただければと思います。 (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 珠菜さん» まとめて更新するとなかなか早いですね笑 今後はどんどん不定期になっていきそうな予感です…次回もお楽しみに! (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 新しく更新してもらえるたびに、テンション上がってしまいます!!更新チェックが最近の毎日の日課にっています(笑)今回のシーズンは改めてシュントの関係が今まで以上に主人公にとって大きいものだなぁと感じてドキドキもしてます (2023年4月7日 12時) (レス) @page50 id: f1ac1c79d7 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - もう続編なんですね!!早い!!リルティングの方とはまた違った楽しみができて嬉しいです🥰次も楽しみにしてます!! (2023年4月6日 19時) (レス) @page49 id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - そうまなさん» ありがとうございます!時期的にはまーぜるくん達はまだまだ先になりますが…いずれ😳 リルティングアワーのほうが先に登場するかもです(小声) (2023年4月6日 18時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白 | 作成日時:2023年3月21日 18時