ミュージックアワー【BE:FIRST】

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廊下から私達3人とスタッフのモモヨさんのやり取りをニコニコしながら見ていた日高さんが 両手にドーナツの袋を持っているのに気付いた私は、「お腹すいた！」と騒ぎ立てて半ば強引に休憩時間へ持っていった。

そうして結局、シーツは近くのコインランドリーで乾燥にかける事になったのだ。




「96blackだけの共同生活ってちょっと面白いよね」




ダイニングテーブルの椅子に腰掛けて脚を組む日高さんが、楽しそうに言う。ちょっと前途多難だけどね、と思いながら頷いた。




「冷蔵庫に入れるものは名前書こうよ」

「名前いちいち大変だから私お星さまのマークでもいい？」

「じゃあ僕も竜のマークにしようかな」

「名前より書きづらそうなマークにせんでも…」




思わずそう言ったら、ドーナツを齧ったリュウヘイが片手指でウニョウニョと空中に何かを描き始めた。たぶん竜を描いている。

じゃあ舜斗は？と視線をやる。すると彼はニヤッとして




「2人が書くなら俺はかかねー」

「えー、それはなし！」

「マークないのが俺のじゃん」

「そんなんみんなの共有やんな？」

「そうだよ！」




1人だけ書かないなんてナシだよ！と私とリュウヘイが口を揃えて抗議すれば、見ていた日高さんが「わははっ！」と笑い出す。




「兄弟喧嘩見てるみたい！」

「俺が一番上の兄貴」

「駄々捏ねてるのシュントじゃん」

「ほんまそれ」




白い歯を見せて口角を上げたまま、頭の後ろに手を組んで踏ん反り返る舜斗。このわがままの何処がお兄ちゃんなんだろうか？





＊




こうして始まった、半年間だけの共同生活。
まあこの2人となら気を使わないから、ホテル生活より結果楽になりそうだ。

「どうせならメンバーみんなでシェアハウスとかも楽しそうだ！」とリョウキくんが言ったのに対し「それは勘弁」と、年長組が揃って顔を顰めた。
意外だったのはレオくん。プライベートではきっちりと1人空間を作りたいらしい。




「風呂入る順番とかどうしてんの？」

「昨日はじゃんけんしたよね」

「洗い物もじゃんけんした」

「うぉ〜、っぽい」

「つーかミヅキは平気なわけ？いろいろ」

「オーディションの大部屋を乗り越えた私にそれ聞く？」

「「「たしかに〜」」」




ソウタくんとリョウキくんとレオくんが声をハモらせた。

9月5日の日曜日

来る18日のSUPER SONICに向けてのリハーサルのため、私たちは朝からスタジオ入りをしていた。

昨晩ジャンケン運が全く無かった私は、お風呂が一番最後になるわ洗い物係になるわで散々だった。それを思い出して、前屈ストレッチをする舜斗の背中を押す手に力が入る。




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