ミュージックアワー【BE:FIRST】

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ありがたい事にクラスメイト達は、私がオーディションに合格する前とほとんど変わらずに接してくれた。ふとした時に色めき立つ瞬間はあったけど、『応援してくれてるんだなぁ』と思ったら私自身それを楽しむこともできた。


平日は学校に通い、金曜の放課後から東京へと向かう。
否応なしのそんな生活が確定して、ついに2年間お世話になったバイト先を辞める事になった。デビュー前のアーティスト契約でも、週3日6時間働いていたバイト代より弾む額をもらえるので、そこが本当にありがたい。



そうそう、ありがたい事は他にもある。






「え、ほんまにここで毎日練習してんの？」

「そうなんですよ。寂しい言った気持ちわかるでしょ？」

「というよりBMSGやるやんって感じやわ」




“神社での練習はやめなきゃいけないね、残念だけど”

日高さんにキッパリと言われた事に私は一瞬途方に暮れた。コネもなければお金もない私が、じゃあこれからどこで歌とダンスを練習したらいいの？まさか週末だけしか出来なくなるとかちゃうやんな？

そんな思いが顔に出ていたんだろう。苦笑いしながら顔を横に振った日高さんは続ける。『心配しなくてもいいよ』と。




「半年契約らくて」

「チンチャ？」




JR大阪駅付近にある大型のダンススタジオの一角を、会社が私のために半年間貸し切りにしてくれた。

神社に比べると電車に乗って通わなくてはいけない不便性はあるが、そんな事を言っていられないくらい。

ステージリハが出来るほどの広さのスタジオには、キーボードやギターが常設されている。YAMAHAのスピーカーからは、音粒が目に見えてしまいそうなほどクリアなサウンドが聞こえる。

そんなスタジオにミヤビさんを招待した。
いかんせんこの環境を1人で使うには贅沢すぎる。




「今度からベースの練習はこっちやな」

「うん。あ、実はギターも少し触り始めてて……」

「いいやん！買ったん？」

「日高さんのやつ拝借してます」

「ええ度胸しとるわほんま」




そう言いながらミヤビさんがシューズに足を入れた。
一緒に踊るのは本当に久しぶりだ。思い返してみればもう、彼女との出会いから半年が経った。





(ニコちゃんは元気にしてるかな…)





新しい環境で夢を追いかけ始めたニコちゃんとは、最終審査以降連絡をとっていない。リュウヘイからチラッと近況は聞いているが、そろそろ声が聞きたいな……



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