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H大に行くまでの道で、250mlのなっちゃんをほとんど飲み終えてしまった。「喉乾いてたんじゃん」とジュノンくんは軽く笑う。
正直なところ、2人きりだと何を話していいか分からなくて、手頃な飲み物に口をつけて紛らわしていただけだ。
受付終了時間ギリギリで説明会に滑り込んだ。
クーラーが弱く効く講義室の、一番後ろの席について1時間半程度の話を聞く。
学部ごとの特色やカリキュラム、それから学校生活について。渡されたパンフレットに付箋を貼ってメモを取る横で、頬杖をついたジュノンくんは頻りに欠伸をしていた。
「キャンパス内は意外と広いね。綺麗だし」
「ほんとに。外から見るよりおっきく見える」
「見たいとこあんの?」
「図書館と食堂には行きたい」
「…………食堂、ね。……地図読んで」
「ほい」
説明会が終わると、あとは自由に学内を見学していいとのことだった。ジュノンくん曰く「案内ツアーないの珍しい」んだとか。
パンフレットを広げて図書館の位置を探す。ここからだと、キャンパス中程にある広場を通り抜けるのが近い。
「あっちだ」
「ん」
指差した方へジュノンくんが歩き出す。日差しをあまり気にしていないのか悠々と日向を歩く彼に、「説明会眠かった?」と聞けば こちらを見ずに「いいや」と答えて。
「説明してる人の“であるから”の回数数えてた」
「……ええ?ははっ、確かにめっちゃ言っとったけど!」
「あと窓側に座ってた子、途中白目剥いてた。あっちの方が眠かったと思うよ」
「待って私それ見てない。めちゃめちゃ周り見とるやん」
「ふっ」
不意に目元をくしゃりとして笑う。どうしたのかと首を傾げれば、「めっちゃ関西弁やん」と変なイントネーションで揶揄ってきた。
「ぁ、いや、……標準語も喋れるもん」
「オーディション中とかほとんど出てなかったもんね」
意識していたわけでは無いけど、やはりオーディション中は言動に気を使っていたから、言われてみれば方言を使う場面は少なかった。
THE FIRSTが終了して、会話の中心は課題のことから日々の何気ない出来事に移りつつあって、知らず知らずのうちに素になっていたんだろう。
「変かな。気をつける」
「……いや、むしろ」
標準語と方言が混ざってるのは中途半端で変だったかな、と思えば、ジュノンくんが言いたいのはそういう事ではないようで。
「感情が見える気がして面白いよ、お前の関西弁」
「…………口説かれてるぅ?」
「だる。離れて歩いて」
眉根を寄せて、心と体 両方の距離を取られた。
今の話題でふざけるのは ちゃうかったらしい。
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白(プロフ) - ゆきさん» わーっ、嬉しい🥰 特別な立ち位置にいるシュントくんがこれからどんな活躍をするのか…他のメンバーがどのように食い込んでくるのか、楽しみにしていただければと思います。 (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 珠菜さん» まとめて更新するとなかなか早いですね笑 今後はどんどん不定期になっていきそうな予感です…次回もお楽しみに! (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 新しく更新してもらえるたびに、テンション上がってしまいます!!更新チェックが最近の毎日の日課にっています(笑)今回のシーズンは改めてシュントの関係が今まで以上に主人公にとって大きいものだなぁと感じてドキドキもしてます (2023年4月7日 12時) (レス) @page50 id: f1ac1c79d7 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - もう続編なんですね!!早い!!リルティングの方とはまた違った楽しみができて嬉しいです🥰次も楽しみにしてます!! (2023年4月6日 19時) (レス) @page49 id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - そうまなさん» ありがとうございます!時期的にはまーぜるくん達はまだまだ先になりますが…いずれ😳 リルティングアワーのほうが先に登場するかもです(小声) (2023年4月6日 18時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年3月21日 18時