46 疑問点 (志摩side) ページ6
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志「おつかれー、まだ帰らないのか?」
貴「はい、ちょっと気になることがあって。」
俺も俺なりに、今回の事件について色々考えてみた。
Aほどの観察眼の持ち主なら、俺が気にかかったことには同じく疑問を抱いていることだろう。
だとしたらAは、何か事件の謎を解く
重要なカギに気付いている気がする。
だけど、どうしてそれを話さないのか。
刈「なんだぁ?この分駐所は?」
すると、何故かこんな所に刈谷さんが。
どうやら嫌味を言いに来たらしい。
刈「あぁあと、お前らの言ってた蒲郡。アイツ
当てになんねぇぞ、ただのボケジジイだ。」
勝手に聞き込みに行ったのがよっぽど気に食わなかったのか、わざわざもう一度聞きに行ったらしい。
志「そうですか。
そんなに進んでましたか、認知症。」
刈「はぁ?何言ってんだ?
事故だろ。ひき逃げによる、脳障害!」
ほれ、とご丁寧に資料まで渡してくれて、
気分が良くなったのか帰っていった。
志「ふうん」
資料をパラパラとめくる。
まぁ、
事故だからと言って何かが変わるわけでも無いのに。
暇なのかなぁ、刈谷さん。
貴「ちょっと待って下さい、」
見せてというから、資料をAに渡す。
真剣な目で資料に目を通している。
貴「…………私、帰ります。」
彼女は下を向いたまま資料を俺に突き渡し、
早足で出口に向かった。
志「待て。」
志「お前は何を知ってるんだ。話せ」
貴「嫌です」
志「話せ!!!」
貴「…………志摩さん私……
この事件解決したくないです。」
こちらを振り返りそう告げたAの瞳は、動揺で揺れており、こらえた涙で真っ赤に染まっていた。
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作者名:さみょん | 作成日時:2020年9月29日 8時