❅ ページ13
〇
「以前の私は、この綺麗な海の底で、幸せな夢を見ながら眠っていたいと思っていました。なのに今私は、生きて此処にいる。条野さんのお蔭です。
……だから、そんな顔しないでくださいよ。もっと自信を持ってください」
貴方だから、私は手を取ったんです。
目いっぱい手を伸ばして、彼の頬に触れる。それから首元に手を回し、キュッと抱きしめた。
自分から触れる事なんて無かったから、恥ずかしくて仕方がない。
「……ッはぁ、本当に貴女はもうッ」
「わッ・・・!?」
急に声を荒げたと思えば、グッと抱き上げられた。
クルリと視界が一回転して直ぐに降ろされる。
驚いて見上げると、柔らかく微笑む彼と目があった気がした。
「ど、どうしたんですか急に……」
「すみません。想定よりも随分絆されてくれていると思うと、嬉しくてつい…」
隠しも悪びれもせずに云う彼に、少々拗ねたい気持ちになる。
惚れ惚れするような笑みを浮かべる条野さんは、そんな私をあやす様に頭を撫でた。
刹那。何処からか、ゴーンと鐘の音が鳴り響く。
さらに賑やかになった街中に、それが除夜の鐘だということに気づいた。
「あぁ、何時の間にやら。何だか締まらない最後でしたね」
「ふふッ!確かに…。条野さん、あけましておめでとうございます」
「おめでとうございます、Aさん。今年も如何か隣に居てくださいね」
「こちらこそ、隣に居させてください」
私にとって条野さんとの関係が、依存だって何だっていい。
生きてさえいれば、これから何にだって変えられるから。
「さて、帰りますか?それとも街の喧騒に従って、もう少し見て回りますか?」
「…そうですね。あと少しだけ、新年の雰囲気に乗りましょう」
「ふふ、分かりました。それじゃあ行きましょうか」
Fin.
____________
明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします(*'ω'*)
新年の話を此処まで引っ張ってしまいましたm(__)m
〇
348人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒灰白有無%(プロフ) - 初期の頃に読ませて頂いて私得の方読ませて頂き此方の名が出て久々拝読を試みたら完結状態で吃驚です.未拝読の所も読ませて頂き再び拝読出来た事と物語の感動で感涙です!!文章が綺麗ですし迚も面白くて大好きです又1~読ませて頂きます.是からも蜿々と応援しています!! (8月19日 8時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 向日葵さん» コメントありがとうございます!条野さんメインの夢小説良いですよね(о´∀`о)中々数が少ないのが残念です…なので自己供給してます笑。不定期更新ですが、これからも宜しくお願いします! (2023年3月5日 21時) (レス) @page29 id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - めっちゃ好みです!猟犬(条野メイン)の小説大好きなんですよ!ありがとうございます。これからも応援させていただきます!! (2023年3月2日 16時) (レス) @page29 id: bf5f5c7f70 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます!夢小説、となるとキャラの性格を上手く当てはめる事は必要不可欠ですが大変な作業ですよね…。私も意識しつつ書いているので、そう言って頂けて嬉しいです(о´∀`о)不定期更新となってしまいますが、これからも宜しくお願いします! (2023年3月1日 23時) (レス) @page29 id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
m - 初コメント失礼します。とても綺麗な文章と構成に感動しました。上手くキャラの性格に合わせている所には尊敬しかなく、すべてが本当に好きです。どうかお身体にはお気をつけて楽しんでご活動続けてくださると嬉しいです。これからも心から応援しております。 (2023年2月24日 18時) (レス) @page27 id: 6abbe396c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハル | 作成日時:2021年12月9日 0時