＊＊ ページ43
○
「た、確かに信憑性に欠けるな。
………処で、これ何の卵？」
「？__________蛙ですが」
既に一口食していた福地が、ぐふッッ！と大きく咳き込む。
嫌な気配を瞬間で察知し、直ぐ様飛び退いて彼から距離を取った条野。
衝撃発言をした本人は、不思議そうに首を傾げ口元に手を当てる上司を見やっている。
「せめて洗面所へ行ってくださいッ！私の貴重な聴覚と嗅覚を汚そうものなら今度こそ撃ち殺しますよ！！」
「条野は何をそんなに慌てているんだ？」
「貴方が隊長に下手物を与えるからでしょう？！」
しょんぼりした彼の顔には「心外…」の気持ちがしっかり表れていた。
それを感じ取った条野がさらに顔を顰め、深々と心の底から溜息をつく。
「もうヤダこの部隊……」
____________________________
________________
「ほう！其れがお主の異能じゃな？」
「は、はい。『想いのカタチ』は自己生成した結晶を、思うままに操る能力です」
一方の病室側。
此方は��子が条野に宣言した通り、"女子会なるもの"が繰り広げられていた。
最も、この場にいるのは��子とAの二人だけなので"会"というには規模が小さい。
ベッド脇のパイプ椅子に腰掛ける��子は、紅茶の入ったカップを片手に富醂を美味しそうに頬張っている。
「鑑識にまわされた
彼女にせがまれて生成した桜形の結晶を持ち上げ、嬉しそうに目を細める��子を横目に、Aも手元にある富醂を口に入れる。
舌に乗せた瞬間に広がる甘味。鼻を通り抜けるカラメルの良い匂いに、そっと笑みを浮かべた。
「かかか！気に入ったか？中々美味じゃろう、この富醂」
「すごく美味しいです……。あとでお礼をしなくては」
「鐵腸からの差し入れだったな！彼奴は食い物なら何でも喜ぶぞ」
病室に帰ったら冷蔵庫を見るように、鐵腸から去り際に云われた通り覗いてみると、すっからかんだった白い空間に富醂が二つ、重ねて冷やされていた。
ご丁寧にスプーンも二人分、横に添えられていた。
「ところでA、条野とはどうなのじゃ？」
「え………」
「あの条野がここまで手こずる事が予想外でな。我々も少なからず驚いているのじゃ」
「………軍警の皆様方の間で、条野さんは一体何と云われているんです？」
"あの"と揶揄される彼が普段何と云われているのか、Aは少し気になった。
〇
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オタク - コメント失礼します！まだ一編目しか読めてませんが、すでに沼にはまってます！！言葉選びとか、キャラの口調をしっかりとらえてるところももう、すごくいいです！素敵な作品をありがとうございます！二、三弾目もじっくり楽しみながら読ませていただきます！ (10月15日 6時) (
レス) @page50 id: 7a68ba3320 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ショートケーキの赤いヤツさん» 同じく刺さってます笑、彼のS属性（笑）を薄っすらと出しつつグイグイ行って貰おうと思います！これからも宜しくお願いします(*^^*) (2021年8月21日 23時) (レス) id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
ショートケーキの赤いヤツ - 条野さんのS感ヤバいですよね……刺さる←条野さんが推しなので更新楽しみにしています！ (2021年8月21日 16時) (レス) id: 0727e3cb02 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うり太郎さん» コメント有り難う御座います！そう云って頂けて嬉しいです(*´ω｀*)更新途中ですが続編も是非宜しくお願いします！も (2021年8月21日 0時) (レス) id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
うり太郎(プロフ) - ヤバい･･････!尊い･･････!こんな神作品を作れる作者様マジでリスペクトします!!今読み途中なんで今すぐ続き行ってきます┗(^o^ )┓三 (2021年8月19日 23時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハル | 作成日時：2021年1月7日 23時
