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ASide
1分間息を殺して待ってみたが、扉の外に人がいる気配もないし、部屋の中にもない。もし気配があるとしても、鼓動が止まった人たちかな。
そう思いながらボクは早速黒猫を触り、1cmだけ違う繊維の布のところを探した。
A 『あった!あ。』
見つけた喜びで声を大きく出してしまったけど、まあいいや。
布を無理やり剥がして、ポケットから兄ちゃんにもらった折り畳み式のドライバーを取り出す。だけど、肝心の穴がわからない。穴は1つだけを開ければ済むんだけど、如何せん穴が多すぎる。
A 『全部開けてみてもいいけど……。開けちゃいけない穴もきっとあるよね……。どうしよう。』
その時、頭の中で声が響いた。僕はその声につられるように、声に出す。その声は、魔法を詠唱するように静かな声だったと思う。
A 『異能力、誰かの心臓になれたなら。』
何時も響く声に異能力と云う単語が追加されたのは初めてだ。だけどその言葉を唱えても変化は起きない。唯、じっとこちらを見つける黒曜石の瞳があるだけだ。
……瞳?
A 『あ、あれ?嘘。見える、よ。なんで!?』
頭を回すと景色が変わる。白と黒の決して物が多いとは言えない部屋。最初に見た黒曜石のような瞳を持つ黒猫の縫いぐるみ。そして黒猫のお腹にある穴。
A 『何か判らないけど、これなら!』
ボクは思い切ってドライバーを見つけた穴の中に差し込む。
ぱかっと音がして黒猫の内臓……否、機械が見えた。そこに異様なほどキラキラと輝く水色のボタン。
これを押せば、兄ちゃんの通信機、GPSとつながるはず。
A 『も、もう。兄ちゃん、繋がってね。えいっ。』
徳冨の鼓動、足音がこの今ボクが居るであろう建物から消えたことを今気づいた。
だから。思い切って水色のボタンを押した。
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「 」 - お判りいただけてうれしいです。そうなんです、ところどころに歌詞が入っていたり、歌詞に似た言葉が入っていたり...。暇があったなら探してみるのもいいかもしれません。 (2019年12月11日 15時) (レス) id: 43b82fbd6e (このIDを非表示/違反報告)
しり - 誰かの心臓になれたなら、ですよね!歌詞が入ってます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: b21ae34836 (このIDを非表示/違反報告)
「 」 - まゆさん» コメントをいただき、ありがとうございます。時間があまり無いので、更新が遅いですが、出来る限り頑張っていきます。 (2019年10月7日 0時) (レス) id: d2a4aee116 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年9月27日 13時) (レス) id: b085d94187 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2019年8月14日 12時