１０６ ページ12
「………なるほど、ヒーロー科の1年なら、妥当なレベルだろう」
……それは、褒められているのか……？
Aは床に倒れ込みながら、ぼんやりとベストジーニストを見た。
Aは本気で戦ったというのに、何ひとつ攻撃を当てることが出来なかった。その上ベストジーニストは汗ひとつ流してなく、涼しそうにAについて分析している。
惨敗だった。当然ではあるが。それでも悔しかった。
「それなりに近接戦闘も叩き込まれたのか？」
「はい。最低限でも出来ないと話にならないからと」
「最低限…？まぁいい。だが見た限り、今の自分に何が足りていないのか、分かっているな」
ベストジーニストの言葉にAは頷く。
足りていないのは近接戦闘においての個性の応用力。遠距離と比べれば圧倒的な差がそこにある。
元々、Aがこの個性なら遠距離で十分だろと考えていた節があった。それが壊されたのが準決勝、轟に一気に距離を詰められた時だ。
ある意味、Aの固定概念がぶっ壊された瞬間でもある。その時はまだ気がついてなかったが、今ならはっきり言える。
遠距離だけでは、戦えないのだということを。
圧倒的に慣れていないし、想像出来ていない。まずは具体的なイメージを掴まなければ話にならないだろう。
「男女の戦闘能力は、個性無しでは残念なことに、どんなに鍛えても差は出てしまう。それを個性を使って埋めろ」
「はい」
「自分の得意な戦法に相手を引きずり込め。理解出来てないだけで、君は既に答えが近くにある」
「………はい」
自分の、得意な戦法。
答えは近くにある。
…………どういうことだろうか。まだAにはよく分からなかった。
この時間、とりあえずイメージを掴むためにベストジーニストやサイドキックの方々と手合わせをしたが、まだイメージを掴めていない。
正直、Aは変な焦りを感じていた。
一応、基礎的な体術は出来るが、それを上達させるにはかなりの時間がかかる。そんなものを呑気に待っていられるほど時間は無い。
何か、何か見つけなければ。少なくともこの職場体験中に、何か手がかりを見つけなければ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鬼龍炎(プロフ) - 続き楽しみにしてます！展開が楽しみです！ (2020年11月12日 1時) (
レス) id: 7c87da37ca (このIDを非表示/違反報告)
マキャベリ - 楽しみにしてます！面白かったです！ (2020年11月2日 14時) (レス) id: 303ab2eb20 (このIDを非表示/違反報告)
nightmare - 見てて、楽しかったです。これからも更新を楽しみに待ってます！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 97bb721bbe (このIDを非表示/違反報告)
ママリりすす(プロフ) - ありがとうございました (2020年10月24日 1時) (レス) id: ec99ffd70c (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 展開面白かったです！これからも更新楽しみに待ってます！！ (2020年10月19日 18時) (レス) id: 0a962740d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらもち | 作成日時：2020年10月19日 12時
