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第二話 飽きてきたんだよね ページ4

「!?」


ユウは驚いているようだ。


まぁそらそうだよね。


か弱い声で泣きながら抵抗してくるだけの、ただの負け犬だと思ってたみたいだし。


『ユウちゃん、ごめんねぇ。私さぁ、もうこのキャラ飽きちゃったんだよね〜』


「っ!」


ユウは短い声にならない声ををあげた。


さっきまで泣いていたはずの相手が今じゃニマニマと楽しそうに笑っているんだからね。


怖いよねぇ、不気味だよねぇ。


『ってことでね!』


私はポン、と手を叩いて笑う。


『明日からお前が言った通りのことしてやるよ』


前髪の隙間からユウの顔が見えた。


「ヒッ!」


ユウは肩をびくりと震わせた。


自分も驚いた。


こんなに低くて地獄の底から聞こえるような声がでるなんて。


またパッと顔を明るくさせる。


『くひひ、じゃあね。また明日』


心底楽しそうに笑いながら帰っていく私をユウちゃんは呆然と眺めていた。





翌日。


私が教室に入ると突然クラスの空気が変わった。


理由は明白。


前髪も後ろ髪もばっさり切って、クラスメイト全員を見下すような態度で入室したからだ。


『おはよう、ユウちゃん』


私の顔は決して悪くないし、正直言って普通に美人。


でも前までは顔の半分も隠れていたから、誰も私の目を見たことは無かっただろう。


しん、と静まり返る教室でユウちゃんが初めて声を出した。


「え、エースくん、デュースくんっ!私、昨日もいじめられたの…いっぱい殴られたの…」


ユウは昨日と全く同じ表情でそう言った。


「そうだ、ユウはお前がいじめたんだろ?早く謝れよ」


動揺していた様子だったエースもまたいつものように前に出てきた。


飽きずによくやるよねぇ。


ニッと口が三日月形になるのが自分でも分かった。


『バッカみたい!本当に、愚かだねぇ!!正義ごっこなんてしちゃってさぁ!!』

第三話 嘘と真→←第一話 猫被り



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Yukimi(プロフ) - 優ちゃんも夢主ちゃんも夜森さんが考えなければ産まれなかった存在だから、操られてたんじゃなくて、夜森さんが考えた夢主ちゃんが本当の夢主ちゃんたちなのかなって。ごめんなさい、なんか意味分からんくなりましたね、3つめのコメント失礼しました (2月29日 4時) (レス) id: 19b20bd6d2 (このIDを非表示/違反報告)
Yukimi(プロフ) - 優ちゃん、辛いなあ。性格って環境で変わっちゃいますよね。愛されたいよね、いじめられっ子なんて尚更、何処かで優ちゃん幸せになって.... (2月29日 4時) (レス) id: 19b20bd6d2 (このIDを非表示/違反報告)
Yukimi(プロフ) - 何もかもが好きすぎた作品でした。最後に色々と考えさせられてもう、ほんと、好きです。小説の良さを言いたいけど語彙力が無くて言えない私を殴りたい。自分忘れっぽいののか面白い小説読んでも忘れちゃうタイプなんです、この小説だけは忘れたくない... (2月29日 3時) (レス) @page47 id: 19b20bd6d2 (このIDを非表示/違反報告)
猫狗 - ずっと読みながらにやにやしてしまう僕はどれだけ性格悪いのだろう...((もう、言葉が出ないくらいしっくりきました…!くひひって笑い方いいな...((( (2023年3月7日 18時) (レス) @page49 id: a2b9d0ac16 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - こうゆうのが読みたかったんですこういうのが!!!!!!!!! (2023年2月22日 2時) (レス) @page47 id: 447cc165c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜守 | 作成日時:2020年8月6日 18時

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