煌めく君に恋をした

夢 ページ24

ノアside
声が聞こえる。

泣き叫ぶ様な声、すすり泣く様な声、怒っている様な声。

色々な声が頭の中に響く。

その話題の中心に居る男を俺は知っている気がする。







？？「………………！…………、……………………！」

？？「…………………………！…………………………」

？？「……………！………………！！」

顔が黒く塗りつぶされていてよく見えない。

どうやらソイツらは真ん中で眠っている男に声をかけているらしい。

どこかの部屋の一室。

質素すぎるその部屋は白いカーテンと1輪の花、それしかなかった。

ふと花瓶に刺さる花を見た。

Vergissmeinnicht(ドイツの花だ)。

日本では“勿忘草”と言うんだったか。

その勿忘草は花びらが1枚しか残っていなかった。

その花びらはそれでもまだ生きたいと言うが如く落ちまいと必死になって子房にしがみついている様だった。

だがそれもつかの間、最後の1枚だった花びらはゆっくりと机の上に落ちた。

ピー…………。

鳴り響く機械音に驚きそちらを見ると今まで何か言っていた男達が必死になって眠っている男を起こそうとしている。

医師らしき男が走って部屋に入って心肺蘇生を試みるもその眠っている男に繋がっている機械から音が出る事はなかった。

今になって鼻をかすめる消毒液の匂い。

そうか、此処は病院だったのか。

頭の整理が追い付きふとベッドの方を見た。

ノア「……………どうしてお前がそこにいるんだ」

ベッドに横たわっていたのは紛れもないAだった。

俺はベッドの横に駆け寄りAの頬を触る。

冷たい。

固く閉ざされた瞳、青く変色した唇、ボサボサの髪。

そこにいるのは紛れもないAなのだと痛感させられる。

ノア「やめろ………行くな…」

目の前がボヤけて見えない。

頬に冷たい何かが伝う。












ノア「こんな夢見せないでくれ………」

夢から覚めても俺の頬は冷たく濡れていた。

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