煌めく君に恋をした

やせ細った子供 ページ20

ノアside
最初会った時は随分とやせ細った子供だと思った。

ドイツ語やフランス語を平然と話すAに少し興味があり少し強引ではあったがドイツに連れて来た。

だが、一緒の生活と言うのはとても難しいと知った。

サッカーの才能と勉学の才能は目を見張るものかあるがそれ以外は幼児にも満たない。

特に食事をすると言う事の意味を理解出来ず食事を取らない事も多々あった。

ノア「家での食事は何を食べていたんだ？」

『……………あれ』

指が指されている方を見るとゼリー飲料のCMが流れている。

ノア「誰も食事を作ってくれないのか？」

『家に帰ってもお金しか置かれてない……から』

それも1週間ゼリー飲料の日もあると言っていた。

ノア「……………先程から野菜しか取っていないがヴィーガンなのか？」

テーブルの上には肉や魚等の料理が並んでいるがそれらには一切口をつけず野菜ばかり食べている。

『……………食べちゃダメだって言われてるから。それに食べ方が分からないし』

俺は耳を疑った。

食べるのを禁止されている？食べ方が分からない？そんな事があるのかと思考を巡らせる。

だが、その言葉が事実だと言う事を嫌でも理解する。

Aを抱いた時に驚く程軽かったからだ。

俺が強く握ればぽっきり折れてしまいそうな手を俺は優しく握る。

ノア「なら俺の目の前だけでもいい、食べてみてくれ。ナイフとフォークの使い方から食べ方まで教えてやる」

その骨が浮きでた手にナイフを握らせ俺は背後に回って優しく手を包む。

ノア「フォークは左手で持て、ナイフは右側だ。ゆっくりでいい、ゆっくり切れ」

最初はぎこちないもののゆっくりと肉を1口サイズに切っていく。

『……………ほんとに食べていいの？怒らない？』

怯えた顔でこっちを見るAの頭を俺は撫でる。

ノア「そんな事で怒らない。逆に食事を取らない事には怒る」

フォークにさっき切った肉を刺させ口に運ばせる。

『………………おい、し、い』ﾎﾟﾛﾎﾟﾛｯ

Aは大粒の涙を流しながら口を動かした。

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