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そんな笑顔がかわいくて、思わず見とれてしまう。
二年前にも思ったけど、凛とした美少女だった。
「で、なにしてんの。ここで」
高台の神社の裏手の空き地。
裏側で、この辺りは人気が少ない。夜はかなり物騒なはずだ。
「時間つぶし、です。友達と会うのにちょっと早かったから。」
「友達。ここでか。」
危ないで。て言おうとした。ここをたまり場のようにしている奴らを俺はよく知ってる。
「危ないで、て思いました？」
「ああ、」
「大丈夫です。って。でも、心配してくれはったのありがとうございます。」
彼女は、ようやく心からの笑顔になる。ちゃんと目が笑っている。
「ここは、落ちつくんですよ。危ないやつって、先輩が思てるコは、私の友達やし、今日は友達待ってるのに早かったから、気持ちの整理してたんです。落ち込んだ時、一人になりたい時、クールダウンしたい時、いろいろですね。この景色キレイなんで。」
この高台の景色はキレイだ。夜景も、夕暮れも、昼間の町並みも。
「この景色見てると、街でいろいろあることが、小さく思えて、悩んでるのがアホみたいに思えるんですよね。」
「けど、そうなるには、ここに来てしばらくかかる。そうやろ」
俺がそう言うと、真っ直ぐ俺を見てうなずく。キレイな眼差しだ。
「同じやから。俺も。」
彼女の眼差しの前には、驚くほど素直になれた。
「仕事してて、くそって思う時、いろいろしんどなった時に気持ちの整理したりするしな。アカンからな、家にイライラやわだかまりを抱えて帰んのんは。もちろん、それだけやなしに、仲間と待ち合わせたりもするしな、ここ。」
今日は、仲間に会いたいとこやけど、もう少ししたら行かなあかんねん。
一人で居たかったんやったら、ごめんな。邪魔やったやろ。
俺はそう言ったら、彼女は小さく首を振った。
「いややなかったら、時間までいててください。」
うん。
俺は隣に腰を下ろした。
「二年前、お世話になったのに、すみませんでした。」
彼女は謝った。
「あのまま、結局部をやめてしまいました。」
「おん」
気にせんでええよ。と言うと、彼女はほっとしたように笑った。
「結局、言えないままですね。カラスは白いって」
「今も？」
「同じです。前より、アカンかも。」
俺はまた、タバコを咥える。
「ええんちゃう。理不尽なものに従わんでも。」
俺はそう言った。
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作者名：紫音 | 作成日時：2021年10月19日 0時
