ラパン ページ6
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短編小説の続きを読みつつ
どれから食べるんだろうと思って
本の隙間からチラリと見れば
まずは無難にプレーンを手に取った。
マスクを顎まで下げて
口に運ぶと私の方を向くので
咄嗟に本の表紙で顔を隠す。
「美味しいです」
『ありがとうございます』
なぜかマスクをしていない
ラパンさんのことを見たら駄目な気がして、
失礼だと分かっていながら
本で顔をおおったまま表紙と一緒に一礼した。
それから小説の文字を追ったけれど
ラパンさんが度々、
話し掛けてくれて集中出来ない。
「これはメープルですね」
『少し贅沢なメロンパンだと思います』
店主の私が言うのもなんだけれど
メープルメロンパンは生地の真ん中に
溶けたメープルが染み込んでいて
口いっぱいに贅沢な味が広がる。
お値段は一律、一三〇円。
「わぁ、本当だ。美味しいです」
『でも私のオススメはシナモンです』
「えっと、シナモンはどれですか？」
メロンパンは九種類それぞれ
味は違っても見た目はよく似ていた。
中でも紅茶、キャラメル、シナモンは
ビスケット生地でサクッとした
見た目がそっくりだ。
私はついに本を
読み切らないまま閉じて、
正面からラパンさんの顔を見たけれど
やっぱりラパンのようだと思った。
そもそもお客さんの顔を見ないで
接客だなんて失礼極まりないのだ。
『シナモンは、これです』
どのパンよりも香ばしそうで濃厚な
甘い色をしているシナモンを指差すと
ラパンさんは薫りを確認して口に入れた。
『どうですか？』
「美味しいです」
『それは良かった』
私は安堵して静かに
珈琲を飲み干した。
〆
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あんず(プロフ) - なんか憧れるパン屋さんで、すごい行きたくなりました！、 (2018年6月2日 0時) (
レス) id: c19e297b48 (このIDを非表示/違反報告)
Eill Rie(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。メルさんの小さなパン屋さん、実際にあったら行ってみたいものです^^ (2018年5月21日 12時) (レス) id: 3073d54efc (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - 名刺とお店の絵凄く可愛いです！！こんなお店があったら毎日行きたいですw (2018年5月12日 13時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - とても面白い作品で大好きです。これからも応援してます！ (2018年5月7日 22時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年4月29日 21時
