初来店 ページ5
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日光を浴びながらレジの
椅子に座って本を読み、
十一時頃になるとパタリと
お客さんは来なくなるけれど
今日はドアベルが鳴った。
入店したお客さんは
カジュアルな黒いキャップを深く被って
顔は黒いマスクで隠していた。
でも目元だけがはっきりと見えて
まるで
『いらっしゃいませ』
私は読んでいた短編小説を閉じて
店内を見渡すラパンさんにそう声を掛けると、
ぺこりとお辞儀をして私の方に近寄った。
「あの。ここのメロンパンが
美味しいと聞いて来たんです」
程よく距離を取りつつ
恐る恐るという感じで言った。
そんなラパンさんは月からメロンパンを
探しにやって来たみたいに見えた。
『ありがとうございます』
私はカウンターに置いてあるメニューを持って
九種類のメロンパンについて紹介した。
ラパンさんは時折、
驚いたように目を見開かせて
私の話を最後まで聞いてくださった。
「ん〜、迷いますね」
『じゃあ食べ比べてみましょうよ』
「いいんですか?」
『もちろん』
奥から持ってきた椅子を
レジカウンターの前に置いて座ってもらい、
細い紐で編まれた籠に
パンを一種類ずつ入れて
厨房で一口の大きさに切り分けた。
ラパンさんの前にお皿を置くと
「わざわざ、ありがとうございます」
と涙袋を膨らませて微笑んだ。
私はメロンパンによく合うであろう珈琲を用意し、
少し距離を取って椅子に座る。
角砂糖もスプーンの上にひとつ置いた
ラパンさんの好みを伺うためだった。
〆
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あんず(プロフ) - なんか憧れるパン屋さんで、すごい行きたくなりました!、 (2018年6月2日 0時) (レス) id: c19e297b48 (このIDを非表示/違反報告)
Eill Rie(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。メルさんの小さなパン屋さん、実際にあったら行ってみたいものです^^ (2018年5月21日 12時) (レス) id: 3073d54efc (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - 名刺とお店の絵凄く可愛いです!!こんなお店があったら毎日行きたいですw (2018年5月12日 13時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - とても面白い作品で大好きです。これからも応援してます! (2018年5月7日 22時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年4月29日 21時