検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:25,054 hit

ココア ページ11

.



「こんにちわ」
『あ、こんにちわ』


マスクを顎まで下げてペコリとお辞儀をしたのは、
三日ぶりのラパンさんだった。
つられて私も頭を下げると、
キュリちゃんはサッと私の後ろに隠れて、
ちらりとラパンさんの様子を伺う。

今日のラパンさんは片手に紙袋を下げており、
どうやらお買い物帰りのようだ。
私は片方のマグカップをレジカウンターに置き、
もう片方はラパンさんにあげようと思った。
外は風が冷たいから、きっと体が冷えている。


『ココアはお好きですか?』
「あ、はい」
『じゃあこれ、一緒に飲みましょう』


ラパンさんの前に差し出して、
椅子に座るように言うと笑って頷いてくれた。
私のココアはラパンさんの手に渡ってしまったので、
マグカップへ手鍋に残ったミルクを注ぎ、
自分用のココアを作った。


再び私の膝に座ったキュリちゃんは、
マグカップをギュッと手に持って、
足をパタパタと交互に揺らしてご機嫌のようだ。


「メルちゃんのココア、おいしいでしょ?」


私の全てを知っているような口調で
キュリちゃんはラパンさんに言った。
ラパンさんはカップから口を離し、
ふわりと優しく微笑む。


「うん、とっても」


そう言ってココアに口をつけた。
きゅっと上がった口角は穏やかで、
私の胸はじんわりと暖かくなって、
目の前の世界がキラキラと輝いた。


「あ、そうだ」


ラパンさんは顔をハッとさせて、
床に置いていた紙袋からお菓子の箱を取り出し、
私に差し出した。バターワッフルだ。


「この間のお礼に持ってきたんです
一緒に食べませんか?」
『ええ、ぜひ!』


この間のお礼とは、メロンパンのことだろうか。
仲良く三人で小さなお茶会をすることになった。




お茶会→←結婚



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あんず(プロフ) - なんか憧れるパン屋さんで、すごい行きたくなりました!、 (2018年6月2日 0時) (レス) id: c19e297b48 (このIDを非表示/違反報告)
Eill Rie(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。メルさんの小さなパン屋さん、実際にあったら行ってみたいものです^^ (2018年5月21日 12時) (レス) id: 3073d54efc (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - 名刺とお店の絵凄く可愛いです!!こんなお店があったら毎日行きたいですw (2018年5月12日 13時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - とても面白い作品で大好きです。これからも応援してます! (2018年5月7日 22時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2018年4月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。