Brother. (ページ10)

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「まぁ、そんな過去があった訳なんだけど。」

「君が知りたいのはどうしてお母さんが僕を頼るようにお願いしたのか、だと思う。違うかな？」

『そうです。なぜこのような経緯に？』

「うん。じゃあまずあなたのお母さん。つまり伊藤さんと再会したのは1年前。病院でね。」

『え。』

まずお母さんがそんなに前から病院に行ってたということに驚いた。

「大丈夫？続きを話すね。」

「僕は違う友人のお見舞いで来てて。帰ろうと思ってロビーを歩いてたら全然変わってない伊藤さんの姿があってさ。驚いたよ。」

「伊藤さん！って声をかけたら向こうも驚いてて。お父さんのお葬式以来の再会だったから懐かしくて笑。せっかくだから軽くご飯に行くことになってね」

『はい。』

「そのご飯屋さんで、伊藤さんが病気で余命1年と宣告されたことを知ったんだ。」

「最初は冗談かと思った。笑って言ってたしね。でも伊藤さんはそんな嘘をつく人じゃないって知ってたし、何より泣きそうに笑うんだよ。」

切なそうにそう話す松村さんをみて涙がこぼれ落ちた