恋をしました【大橋和也】 (ページ4)

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キーンカーンカーンコーン

転校して一時限目のチャイムが鳴った。
教卓には女の先生が立っている。古典の先生らしい。

大橋「うわぁ、一時限目古典かぁ～」

隣の席では大橋くんが不満そうな声を漏らしている。

大橋「あ！せやせや！教科書ないんやったね！席くっつけよ～」

「あ！うん！」

、、、、そうだ。教科書を見せてもらうってことは席をくっつけるっていうことか。

今になって気がついた。そんな近距離で綺麗なお顔があったら授業に集中なんてできない…！

そんなことを思うけど、大橋くんの親切を無我になんて出来ないから机をくっつける。

大橋「天野さんってどっから来たん？？」

机をつけるやいなや、大橋くんはそう聞いてきた。

「あっ、福岡からよ、！」

授業中なので小声で話す。すると大橋くんはびっくりしたような顔をした。

大橋「え！？俺ちっちゃいころ福岡住んどったよ！！！運命ちゃう？！」

『運命』

今朝、ニュースであっていた星座占いが頭によぎった。

「あ！そ、そうなんや！」

大橋「え～すご～！俺博多弁とか好きなん先生「こら大橋！！授業中だぞ！！」

大橋「あぁっすんませ～～ん！！！」

大橋くんはホームルームと一時限目連続で怒られたのにヘラヘラしている。

さっきの『運命』も、何気なく言ったのだろう。

それから10分ほどたって、大橋くんは真剣に授業を受けている。

先程とは違い、先生の話を真面目に聞いている横顔は近くで見ればますます綺麗だ。
毛穴の見えない肌にプルプルの唇。こちらをむいてまんまるにしている目。

ん？こちらをむいてまんまるにしてる目？

「あっ！あっごめんなさい！」

つい夢中になってまじまじと見てしまっていた。恥ずかしさでつい大きな声を出してしまう。

すると大橋くんは笑いながら人差し指を口に持っていって「しーっ怒られんで」と言った。

そしてノートに何かを書き始め、書き終えたノートをこちらに向けた。そこには

『なんか話そや！』

と書いてあった。

『怒られるよ？』

と書くと

『へーき！この席あんまばれんねん！』

と返事が来た。

それから
『剛田先生はああ見えて実は家庭科の先生』

とか

『もうちょっとで文化祭がある』

とか、

いろんなことを教えたくれた。

結局、授業に集中はできなかったけど大橋くんとの会話はとても楽しかった。