恋をしました【大橋和也】 (ページ23)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:39,305 hit

23 ページ23

それから約1週間、文化祭の準備のシフトがまわってきた。

(今日は凛葉ちゃんも山さんもいないのか…)

山さんは、山口さんのことだ。私と凛葉ちゃんが名前で呼び合っているのを見て、「私も名前かあだ名で呼んでや～！」と言われ、山さんと呼ぶことになった。
今日は2人はシフトに入っていないっぽい。

大橋「あっ天野さん、今日入ってんねや！」

1人で作業をしていると、大橋くんが話しかけてきた。

「うっうん！」

あれ以来、大橋くんとは挨拶をするくらいで、特には話していない。でも大橋くんは明るくいつもの笑顔を向けてくれる。

(嫌われてない…かな)

「大橋くんの匂いみたいでめっちゃ良かった」とか変態みたいなこと言ったり、変な雰囲気になったりして嫌われてないか心配だった。

しかし、大丈夫だったみたいだ。「がんばろな！」と言って大橋くんは元の作業に戻った。

作業がひと段落し、少し休憩していると、二郎くんに
「天野さ～ん、ごめんこっちよろしく～！」と呼ばれた。

「あっはい！」

(二郎くん、毎日準備にいるなぁ…)

そう考えながら行くと、ジェットコースターの乗る部分に釘を打つ作業を任された。

二郎「ごめん俺先生に呼ばれたけん行ってくる！」

「あっうん！」

そう言って二郎くんは走っていった。

釘を打つのって難しいな…。こういう作業、見たことはあるけど自分でしたことはなかった。実際にしてみると真っ直ぐに打てない。

大橋「天野さん、大丈夫？」

うまく打てないでいると、大橋くんが声をかけてくれた。

「あっ、大橋くん、ちょっと釘打つのが難しくて…」

大橋「えっ、怪我したら大変やで！貸してん！」

大橋くんは私の横に座り、釘とハンマー？を持った。

「ありがとう…！」

大橋くんは慣れた手つきで釘を打っていった。

「すご…！器用やね～！」

そう言うと「結構こういうの得意なんよ！」と、キラキラの笑顔で言った。

触れられそうなくらい近くに座っている大橋くん。

大橋くんの笑顔を見てると、胸がキュ～ってなる感じがする。

大橋くんの匂いで頭がぼーっとする。

大橋「こうやってな、トントンってすんねん」

大橋くんは私に教えるように釘を打った。

「こ、こう…？」

難しいな…。どうやっても曲がってしまう。

大橋「もうちょっと力抜いて…」

といって、大橋くんは、私の手に手を重ねた。