【HQ】ネコさんのマネはキツネさんのマネになりました。

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一番会いたくない人に会ってしまった、とAは思った。



「？上履き洗ってんのか？なにしたん」



「き、北さんこそこんなとこでなにしてるんですか」



聞かれたくない質問をされ、逆に聞き返して話を流そうという戦法に出た。



「さっきSHR終わってな、今委員会の提出物出しに行ってきたところや。…で？真白はなんで上履き洗ってんの」



わかっていた。北に話を誤魔化すなど不可能であるということを。



「あ、ええっと、トイレ行ってたら便器の中に上履き落ちちゃって…」



「ふーん…………どうやったら上履き便器の中に落とすん？」



痛い質問を突いてくる。おまけにAは嘘をつくのが下手だった。



「あ、ええっとその…………」



北の圧をかけるような眼差しにしどろもどろしていると、北はさらに追い討ちをかけた。



「真白お前、いじめられてるんか？」



「ヘッ？！…………や、あの…………お願いします！！他の部員には黙っててください！！！！！」



北はきょとんとした顔で、Aの横に腰掛けた。



「なんで部員に黙っててほしいんや？誰にいじめられてるねん」



「…特定はできてないですけど…」



「あー…宮関連か？」



「まぁ、そうですね、侑と治と、あと北さんのー…あっ」



真横に本人がいるのに、つい口を滑らせた。とっさに口を押さえるが、出てしまった言葉は戻らない。



「…俺？なんで？」



「………すみません…北さんモテてる自覚ないんですか？」



考えたこともなかったな、と顎に手をあてる。



「それやったら俺にも責任あるな」



「いや、そんな気にせんといてください、自分でなんとかするんで…」



北はじっ…とAを見つめたあと、ため息をついた。



「前々からおもてたけど、真白は人に頼るんが下手やな」



どこぞの先輩に言われたことを、北にも言われた。

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