【HQ】ネコさんのマネはキツネさんのマネになりました。

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「付き合いたい、とかは考えたことなくて…でも、その人に笑いかけられると胸がきゅーってなったり、その人の言葉で悩んでいたことが晴れたり、っていうのはありました。今は接することも少ないんで、あんまりそうはならへんのですけど…」



Aのその言葉に、4人が「ん？」という顔をする。



「え、それは異性として好きなんじゃなくて…？？好きだから笑いかけられると胸が苦しくなって、その人が好きだから、その人の言葉が大きくなるんでしょ」



一概には言えないけど、と雀田は付け足した。
…？とAはよくわからない、という素振りを見せる。



「えーと…………Aちゃんはさ、その人にもし抱きしめられたらどう？」



「嬉しいですね」



「………キスとかは？」



「………………………やったことないのでわからないですけど………嫌では、ないです」



「もし、告白されたら？」



その質問をされてAは固まった。黒尾さんに、告白されたら？
そのシーンを想像すると、自然と動悸が激しくなり、顔が熱くなった。



「………嬉しいですね」



あ、あのぅ…と谷地が遠慮がちに声を上げる。



「A先輩、それは好きということでは…」



谷地にそう言われ、バッと口を押さえた。




(え？私黒尾さんのこと好きやったん？)





「Aちゃんって、意外と鈍感なんだね〜」



ニヤニヤしながら白福が言う。



「いや、鈍感ではないと思うんですけど…多分、その人と立場的にそういうの意識するんあんまなくて、考えたことなかったです…。それに考えられる環境でもなかったっていうか」



「今も好きなの？」



「いや、今は付き合いたいとかもないです。ただ尊敬してて、ああいう人になりたいっていう対象です」



で、相手は誰？と清水に聞かれるが、「き、聞かんといてください…」と、布団に潜り込んだ。



その後も谷地を除く3人にいろいろ尋問されたが、上手く流して就寝した。



(…自分で全然気づかんかったな…どんだけマヌケやねん…)



こうして、Aは高1の時の初恋を、時間差で気付くこととなった。

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