【HQ】ネコさんのマネはキツネさんのマネになりました。

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「すまんな、先に浸からせてもらって」



お風呂を出ると、Aは台所に立っていた。



「全然ええよ。はい、ココア入れたから飲み」



さんきゅとココアを受け取り、飲んだ。しっかり体の芯まで温まり、風邪を引く心配は無さそうだと侑は安心した。



「じゃあ私も風呂入ってくるわ。…………………覗いたらちぎるからな」



「誰がお前の貧相な体覗くか！！！」



侑はそう返し、ふぅ、と一息つき、Aがお風呂に入ったことを音で確認すると、テーブルにゴン！！！！と自ら頭をぶつけた。



(落ち着け！！！！！宮侑！！！！！！！！！！彼女の風呂上がり待ってるような気持ちになるな！！！邪念を捨てろ！！！！！！)



覗く気はさらさらなかったが、侑も男子高校生である。聞こえてくるシャワーの音に邪な気持ちを抱かないよう、ひたすら頭の中で素数を数え続けた。

−−−−−−−−−−−−−−−−



「…………………あれ」



侑は自分の肩にブランケットがかけてあるのを見て、素数を数えて(途中でわからなくなった)間に寝てしまったのだと理解した。



「あ、起きた？ごめんな、連れ回したから疲れたか」



「いや、全然やで、大丈夫。これありがとう」



今日が楽しみで昨日の夜寝れなかったからだとは言えず、ブランケットを畳んでAに渡した。



「………なにしてるん？ノート？」



「あぁ、選手のデータノートにまとめててん。何か役立つかなおもて」



ふーん…とAの手元を見る。ペンの持ち方は小学生の頃と変わらず、少し変わった持ち方をしているのを見て侑は、ふ、と笑った。



「なぁA、………………マネージャーやってくれてありがとうな」



「え、なに、急にどうしたん」



「………中学の頃もマネージャーおったんやけど、正直、こいつら試合でえへんし、気楽やなって思っててん。それでいて試合負けたら泣くし。お前なんもやってへんやんけ。って」



「………うん」



「でも、いろんなこと真剣にやってるA見て、マネージャーは試合には出んけど、一緒に戦ってるんやなと思った。だからありがとうって」



Aは侑の言葉を聞き、照れ隠しのように侑の頬をつねった。



「いでででで！！！！なにすんねんお前！」



「………侑、一緒に春高で1位とろな」



「…………当たり前やろ」

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