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4. ページ10

よく見ると、Aさんは暗い表情だった。
事務所へ向かおうとする彼女をとっさに追いかけてしまった。
本当は、自分がAさんを苦しめてしまっているのに。
この「好き」の自分だけの感情で、人の感情を壊そうとしている。

事務所に入っていって、まず警備員さんに事情を話そうか悩む。
でも、こんな自分勝手な理由で入れるわけない。

なんとなく、事務所の前をうろうろしていると、一番仲の良かった広報さん、萩山さんがやってきた。

「あれ、圭太。珍しいじゃん。」
「...いや、あの、初瀬さん探してるんですけど...」

事情を説明すると、萩山さんはすぐに通してくれた。
...意外と入れるもんか。




しばらく事務所内を歩いて、Aさんに追いついた。
Aさんは驚いたような、悲しそうな表情でこちらを見た。
それからすぐにまた俯いた。

「それじゃ、あとはお二人で。」

そう言って萩山さんはどこかへ行ってしまった。
さぁ、どうする。この2人だけの空間。
まずは謝ることからだろう?

自問自答を繰り返して、やっと謝る勇気出た。

「ごめん、Aさん。俺、勘違いしてたのかも...」
『...勘違いって何を?』

そう言われてみれば、確かにそうだ。

「なん...だろ...」
すると、Aさんは少し笑いを堪え、すぐに笑いが吹き出してしまった。

『中川選手って、なんかそういうとこ抜けてますよね、』

久しぶりにAさんの笑顔が見れた。
...こういうところ、好きだな

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作者名:りた氏 | 作成日時:2024年3月5日 7時

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