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球場に着いて、車を降りた。
「それじゃ、頑張ってくださいね。」
『はい、ありがとうございます！』
ぱたん、とドアを閉めて、小さく手を振った。
そのまま僕を載せていた車はすぐに走り去って行った。
あの小説サイトを開いたままの僕のスマホ。
見るとまるで自分が壊れてしまいそうなので、目をつぶったまま閉じた。
ほっ、と息をついてカバンにスマホをしまった。
すると、ぽんっ、と肩を叩かれた。
颯一郎だ。
颯一郎は一番仲が良く、呼び捨てで呼び合っているほど。
『おはよ。』
「ん、おはよう。」
身長の高い颯一郎を見上げながら、少しだけ談笑をする。
すると、ぱかっ、とカバンを開き、僕のスマホを取り出した。
そう。颯一郎はいつも僕のカバンを勝手に開けて勝手にスマホを覗く。
「これ、パスワード解除して」
『颯一郎って本当に遠慮もせずにスマホ開けるよね。
はい、開いたよ。』
ぱっ、とスマホをとって、検索履歴を勝手に見始めた。
その瞬間、さっき調べ内容を一気に思い出した。
『ちょっ、颯一郎！？』
「なになに、別にAだから変なもん調べてな...」
颯一郎はそのまま固まった。
口を開けたまま。
かっこ悪いからやめてほしい...と言いたいところだったが、固まるのも当たり前だ。
僕は滅多にそういうものを調べない。
なのにエゴサしているのを見つけた。
そのまま僕の名前で検索をして、見たことのあるサイトを開いた。
さっきの小説サイトだ。
スマホを取り上げようかと思ったが、身長差がありすぎる。
なかなか届かない。
「ふーん、Aってそういうの好きなんだ。」
『お前っ...返せよぉ...』
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作者名：りた氏 | 作成日時：2024年3月23日 22時
