さんじゅうきゅう。 ページ40
蜜璃ちゃんから全てを聞き、複雑な想いで頭がいっぱいになる。
無一郎くんとは幼馴染だったこと。
私が無惨に狙われていること。
私がここに来るまでに柱の皆さんが協力してくれたこと。
蜜「昔はね、むいくんむいくんって呼んでくれてたんだって。いつも無一郎くんが言ってたわ。」
ふふ、と上品に蜜璃ちゃんは笑う。
…むい、く、ん。
むいくん。
むいくんだ!!
私の大切な人。
大好きだった人。
いや違う。
今も大好きな人。
『思い出した。』
蜜「え?」
“むいくん”という言葉を聞いた瞬間、止まっていた記憶の針が動き出した。
蜜「Aちゃん?もしかして無一郎くんのこと…」
『はいっ!!』
花が咲いたように笑顔になった蜜璃ちゃん。
私が今しなきゃいけないことはただ一つ。
刀を取りに“あの部屋”へ向かう。
隊服を身にまとい、霞がかった水色のぶれすれっとを手に通す。
そして、とびっきりの笑顔で蜜璃ちゃんに言った。
『蜜璃ちゃん。色々ありがとうございました。
またどこかで。』
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蜜「私も任務に行かなきゃ。」
霞柱の家に取り残された一影はそう呟いた。
蜜「またどこかで。…かぁ。」
数秒前まで目の前にいた少女は刀を手に颯爽と消え去った。
桜餅色の髪を結った女は一人静かに想う。
_____もう二度と、あの少女とは会えないのだろうなと。
ラッキーパーソン
蜜璃
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作者名:りお | 作成日時:2020年4月9日 20時