さんじゅうに。 ページ33
蜜璃side
Aちゃんはすぅすぅと寝息を立てて眠っている。
無一郎くんの隊服をぎゅっと抱える姿に心が痛む。
なぜ私がここにいるのか。
それは数時間前に遡る。
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今日は早めに任務が終わったため、鼻唄を歌いながら家へ向かっていた。
すると、微かに鬼の気配がした。
それを探る間もなく、気づいた時には鬼が目の前にいた。
赤い瞳。帽子から覗くワカメのような髪。
蜜「鬼舞、辻…無惨……」
炭治郎くんが教えてくれた無惨の目の色や髪の特徴。それをすべて満たした鬼が目の前にいる。
こいつには全くキュンキュンしない。
だってこいつはAちゃんを……っ!
私が戦わなきゃ。
そっと刀に手をかける…
…はずだった。
蜜「えっ?」
手元に刀がないのだ。
視線を正面に移すと、そこには私の刀を持った無惨がいた。たった0.5秒にも満たない隙をつかれ、刀を奪われてしまったのだ。
惨「恋柱。私はお前を殺 すつもりも、お前と戦うつもりもない。」
蜜「な、なに言って……」
惨「明日の夜。私の鬼達が霞柱の家に向かう。もちろんAが狙いだ。」
鬼達が…Aちゃんの所に…?
そんなのだめっ!だって、だって!!
蜜「そんなのっ!Aちゃんが死 んじゃうじゃない!」
惨「その通りだ。だから特別に良いことを教えてやろう。」
何を言ってるの…?
良いこと?ふざけないで。
そうは思うものの、目の前の相手のオーラと刀を奪われている恐怖で言い返すことができない。
惨「明日の日が暮れる頃。鬼達は霞柱の家に行く前にAの家に行く。この前まで住んでいた家じゃない。“幼い時に”Aが住んでいた家だ。」
蜜「…それが何だって言うのよ。」
惨「そこで誰かが私達の足止めに成功すれば、Aの危険は免れるというわけだ。
足止めができれば、の話だかな。」
そう言い残し、無惨は消えて私の刀がぽとりと落ちた。
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寝ているAちゃんの足元に落ちている写真を手に取る。
無一郎くん、Aちゃん、有一郎くんが並んでいる写真。
目を覚ます時、彼女は昔のことを思い出しているのだろうか。
そんな疑問が浮かぶ中、彼女につられるように眠りに落ちた_____。
ラッキーパーソン
蜜璃
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作者名:りお | 作成日時:2020年4月9日 20時