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「お〜い。Aちゃ〜ん。遅刻するよ〜？」
腹部にのしかかる重さと軽い声で目を覚ます。
『っ、…有剣、重い…、』
「はいはい、退きますよ、っと、」
朝から有剣のだる絡みに少し機嫌を崩す。
今日からまた新しいものが増える
不安と期待が入り交じった灰色の制服に
袖をとおす。
少しオーバーサイズで着崩し感が否めない。
中学の時に履いてた
濃いグレーのスカートを2回まくる。
私が寝坊したおかげで朝食は簡易。
2人でパンをくわえて家を出た。
『あ！…忘れた、』
「んえ、何。忘れ物〜？」
『んーん。違う。…まあ、いいや。』
隣で気になる気になると騒ぐ有剣。
目に見える忘れ物じゃない。
「香り」を忘れたのだ。
げんなりしてる間に学校に着く。
有剣が通る度にすれ違う生徒たちが頭を下げる。
やっぱり四天王様はお偉い。
「お！小田島がとうとう女連れ込む季節か？」
1人の生徒が有剣に絡む。
「そ、俺の女。手ェ出すなよ〜？シダケン〜。」
どういう反応していいか分からず
目のやり場もない。
その時。
シダケンさんの後ろからまたもう1人。
「騒がしいな。」
首に光るネックレス。
刺繍の入った真っ白なシャツ。
美人な顔立ちでとても鳳仙の生徒には似つかない。
「あ、佐智雄〜。こいつが例の今日から鳳仙のAちゃんだよ〜。」
有剣から紹介されぺこりと頭を下げる。
『あの、今日からお世話になります。Aです。
喧嘩とか全然出来ないし足でまといかもしれないですけど、迷惑かけないように頑張るので、あの、よろしくお願いします。』
周りの注目と圧に負けじと声を張る。
「上田佐智雄。俺がここの頭だ。女だからって待遇は変えない。ただ無理に頑張る必要も無い。好きにしろ。」
そう言って私の真横を通りすぎる佐智雄さん。
正直冷たい印象で後先が思いやられた。
「あ〜。まあ、最初はあんなんだけど慣れると思うぜ？仲良くしような〜Aちゃん。」
元気付けるかのようにシダケンさんが
頭を撫でてくれた。
心地が良くて少しはにかむ。
「おーーい、シダケーーン。俺の女って言ったばっかだよなぁ？」
有剣とシダケンさんのごたごたな言い合いを背に、
振り返って佐智雄さんの背中を見つめた。
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いつも長くて申し訳ないです。
お気に入りや色々ありがとうございます(´･ ･`)
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作者名：ももな | 作成日時：2019年10月13日 19時
