檸檬のオードトワレ (ページ2)

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『お邪魔します…っうぁ!?』

警戒しつつ部屋に足を踏み込むと
急に視界が暗くなった。

「はいはい、大人しくしてねぇ」

背後からバスタオルに包まれ
髪の毛を乱雑に拭かれる

怪我の応急処置もしてもらい
おまけにコーヒーまで。

「なあ。今更なんだけどさ、名前は？」

『…Aです。』

「ほーーん。Aちゃんねぇ。…あ、俺は小田島有剣。」

『え、小田島有剣って…、もしかして鳳仙の!?』

かの有名な鳳仙の幹部四天王の小田島有剣
名前が知れている本人だと知って
コーヒーの入ったカップを置いて
相手の顔をまじまじと見る。

「何、知ってんの？」

『え、いやだって。私、戸亜留市でバイトしてるから嫌でも名前くらい聞きますよ。さっきもバイト帰りですし。』

「んえ、こんな時間までバイトって学生は出来ないはずだけど、Aちゃんはそんな大人には見えねぇなぁ。駄目じゃないー？」

『…それは、…事情があるんです。』

さっき会ったばかりの人に
私の事を話すのは気が引けるけど
気づけば不思議と重い口を開いてた。

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