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私には、双子の弟がいる。たった数分産まれるのが遅かっただけの、兄だったかもしれない弟が。
姉、という立場が双子であったとしてもとても嬉しくて、私にくっついて回る数分違いの弟が可愛くて仕方がなかった。それ故に構い倒した。どこに行くにも一緒の弟。今思えば、それが良くなかった。
____「姉さん、早くしないと遅刻するよ」
この弟、夏油傑は高校生になった今も、私にべったりであった。それはもう鬱陶しいくらいに。
『…うん。先行ってていいよ』
「どうしてだい?一緒に行けばいいじゃないか。同じ学校なんだし。今までだってそうだっただろう?」
『あー…まぁそうなんだけど、さ。ほら待たせちゃうし』
「いくらでも待つよ」
『いやそういう事じゃなくてだね?』
「ほら早く食べなよ。待ってるから」
『……はい』
この会話、全て弟が真横にいる状態である。何なら手を握られている。16歳という多感なお年頃。こんなに距離の近い姉弟は珍しいのではないだろうか。少なくとも私は見た事がない。
弟である傑は容姿が整っている。身長は高いし、顔もイケメンだ。表向きの性格もいい。裏はクズだが。成績優秀、スポーツもできる。我が弟ながらハイスペックだ。そんなハイスペックが、ただの1度も彼女が出来たことがない。というか、作らないと言った方がいいだろう。何故なのか聞いたことがある。
「姉さんがいるのに彼女を作る必要なんてないよ」
と、言われた。いやおかしいだろう。シスコン過ぎやしないか。弟の将来が心配である。
未だに登下校は一緒だし、同じ布団で寝る。家の中では抱き着かれているし、頬にキスをされる。瞼やおでこ、腕なんて言う時もある。余程キスが好きなのだろう。彼女にやって欲しいと心の底から思っている。風呂やトイレにまで着いてこようとしたが、流石に拒否した。嫌だったからだ。
と、考えている間にも口を動かし続け、最後の一口を口に放り込む。考えながらだった為いつもより少し時間がかかったが、遅刻するような時間ではないことに安堵した。
『ん、ごちそうさまでした』
「お粗末さまでした。そろそろ行こうか」
『うん』
両親は現在海外出張中で、高校を卒業するまでは帰って来られない。なので毎朝傑が朝食を作ってくれるのだ。料理も完璧な我が弟。本当に血が繋がっているのか疑うレベルだ。
私はそんな弟から、離れたい。
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無名(プロフ) - 麗澪さん» ありがとうございます。頑張ります! (2021年10月29日 0時) (レス) id: a93a36c880 (このIDを非表示/違反報告)
麗澪(プロフ) - 応援してます。面白すぎ (2021年10月28日 17時) (レス) @page4 id: e60b29b16c (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - 雪マカロンさん» 今作も読んでくださりありがとうございます!頑張って参ります! (2021年10月28日 9時) (レス) id: a93a36c880 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン(プロフ) - 新作も最高です!更新頑張ってください! (2021年10月28日 7時) (レス) @page3 id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無名 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mumei02031/
作成日時:2021年10月28日 2時