冬の寒さと恋は人を変えるらしい (ページ14)

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13.傷ページ14

「私、ずっと気付いてたんだ。

瑠姫の本当の気持ちは私にないって。

あんな優しい顔、私にはしないよ。
いや、いつもめちゃくちゃ優しいよ瑠姫は。

その優しさのせいで気づいちゃったの。

瑠姫はきっと私と付き合う前から
Aのこと、好きなんだよね。

私もそれわかってて瑠姫のこと
好きになったし付き合ったから
兎や角言える立場でもないんだけどさ」

「なんで…」

「瑠姫に片思いし始めて、瑠姫も私に優しくしてくれて。
勝手に自惚れてたらAや純喜がお似合いや〜って茶化し始めてくれたじゃん？」

「そうやった、なぁ、なんかごめんな」

「いや謝るとこじゃないしそこ。

そのお陰で瑠姫も私の事、好きになってくれたからむしろ感謝してるよ。

でもAのこと話す時、すっごく愛しいって顔するの。苦しかった最初は。」

「別れたいとか思わんの？」

「思わない、、、よ。好きだし
瑠姫も私の事、愛してくれてる。

それにね、この先Aの事は瑠姫の中で
ずっと、特別な存在であると思うから
Aより好きになってもらおうとか思うの辞めたんだ。

えっ、私。えらくない？」

そう言いながら引きつり気味に、無理に笑うひろ。

＿＿＿＿＿＿

本当はそんな事ないんだ。

純喜とAが付き合ったら瑠姫とは別れるつもり。

でもそう言ったら、きっと一生この2人はくっつかない。

もしかすると、瑠姫も同じことを考えてAの勘違いを
解決してあげてたのかもしれない。

瑠姫のこと、縛り付けている自覚はあったし
お互い好きな気持ちは確かにあるのに
幸せだよと心から思えない、そんな毎日だった。

ハグも、キスも、手を繋ぐことも

お酒を飲んだあと迎えに来て
顔を見て安心したいと思うのも

完璧そうに見えて危なっかしいところが愛しいのも
全部瑠姫だった。

でも、痛いの。すごく痛むんだ。