【キミガシネ】磔刑の魔女(仮)

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しかし、レコはアリスからボンゴを奪い取り、床へ投げつけた。宝物であったはずのボンゴをだ。


「……たしかにおかしいね」
「だろう？……そうだ、レコさんのメダルが五十枚集まったから、人工知能に宝物は何か聞いたんだ」
「なんて言ったの？」

「宝物は……こんな状況だからこそ……自分の命が一番、大事だと言っていた」



宝物はボンゴではなく、自分の命か。



「ねえ、もっと聞かせてほしい。アリスさんは、レコがどんな人だと思ってるの？」
「えぇと、確か……『強い者に厳しく、弱い者にも厳しい……最初はレコが変わったと思ってたけど、ボンゴを壊したのは紛れも無い、俺が知っているレコだ』……みたいな事を言ってた気がするが」

「へえ……確かアリスさんって殺人を犯してたよね。刑務所に入ってたと思うんだけど、レコさんと離れてた時間はどれくらいか知ってる？」
「ああ、話してくれた。確か二年半だったはずだ」

アリスは面会があると看守に言われて付いて行ったところ、デスゲームに巻き込まれたらしい。
彼が殺人を犯してからデスゲーム開催まで、レコとは会っていないと見ていいだろう。

「サラは最近レコさんとも行動してたのかな。何か気になる点は無かった？」
「気になる点……か」

大体話が繋がってきた。だが、決定的な証拠が足りない。以前のレコと今のレコは全くの別人だ。人工知能の証言がそれを示唆している。

私が次の言葉を紡いだ時、サラの表情が明らかな動揺に染まった。



「そう。例えば……レコさんが、別の何かと『入れ替わったり』する時間が存在したとか……しないとか」








今のレコは、オリジナルのレコをコピーした人形。人工知能を搭載したロボットだ。

『記憶はすぐコピーできるが、性格や思想等は三年ごとに反映される』

いつだったか、組織が極秘で研究している裏情報。これを見た時全身の毛が逆立つような不快感に苛まれた記憶がある。

レコはアリスが檻に入っている二年半の間に変わったのだ。そうだとすると、性格の反映やアリスの『変わったと思ったがそうでもなかった』という発言にも辻褄が合う。

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