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「妙な反応しないでくれる?対応に困るんだけど」
「してません!ばか!」
お互いに顔を逸らして、数秒の沈黙。
先に口を開いたのは、彼の方だった。
「もう三日目だ。そろそろ次のゲームが始まるよね……君、もう寝たら?」
「はい、寝ます」
今私が持っているクリアチップは未だ七枚だから、あと三枚集めないと。馬鹿正直に言っても心配されるだけなので、適当に嘘をついておく。
「ソウさんこそ、しっかり睡眠取ってくださいね。次のメインゲーム、睡眠不足が原因であなたの脳が働かなかったらまずいので」
「余計なお世話だよ」
軽い調子で突っぱねられた。前とは段違いに態度が軟化している気がする。軽口を叩きあうぐらいには仲良くなれたのかな……。
ようやっと椅子から立ち上がって、カイのエプロンを腰に巻き直す。きゅっと蝶々結びを施しドアの方へ足を向けた。
「……」
扉を開けたその瞬間。蚊の鳴くような声で呟く声が聞こえたが、聞き直すのも不粋と思いそのまま部屋を出た。
聞こえないくらいの声で呟いてるんだから、きっと独り言だろう。
部屋を出てフラフラと歩く。目指すは憩いの場のアトラクションだ。一人でやれば二つクリアで済むのでさっさと終わらせてしまうか……。
「……眠い」
完全に寝不足だ。ここ二日まともに眠れていない。恐らく今日もぐっすり眠れることは無いので、なんとか死なないようにだけ気をつけておかないとな。
*
唐突だが、圧倒的眠気の前に人は無力である。
気合いで瞼を持ち上げつつ、相手の動きを予測して攻撃に転ずる瞬発力をキープすることなんて、よほどの超人でもなければ不可能だ。
まあ何が言いたいかというと……。
「非常にまずい」
心霊シャッターゲームと居合道一閃を選び、クリアしたはいいのだが。
「とちってしまった……」
深いため息をつき、バッサリ斬られた肩を見遣る。傷口はぱっくり開いており、血がとめどなく溢れてきていた。ああどうしようこれ。
とりあえず医務室へ行って適当に包帯でも巻いておこうか。ハンナキーが居たとしても無視してればいいしな。
重い腰を上げて、壁伝いに歩いていく。
今度は別の意味でフラフラしながら医務室へと向かった。
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Rukia (ゆっくりゆる) - 夢主が死んだ!!この人でなし!!!(風評被害) (2021年6月24日 15時) (レス) id: 2e12baa0e6 (このIDを非表示/違反報告)
紅楓(プロフ) - 面白いです!作者様のペースでいいので、更新頑張ってくださいね! (2020年5月13日 13時) (レス) id: 082dab1426 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ「和」○かき氷(プロフ) - ほんっとに面白いです!!シン君推しの私にはもうヤバいです!!!(語彙力崩壊並に)続きも待ってます!更新頑張ってください!応援してます! (2019年6月19日 1時) (レス) id: 261bc1b2af (このIDを非表示/違反報告)
ドローンコマミレ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!応援してます! (2019年6月13日 18時) (レス) id: 2653006338 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - ほんとに好きです。笑キミガシネあまり小説ないんで嬉しいです!頑張ってください!!! (2019年6月13日 0時) (レス) id: e4e581fc0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツキミ | 作成日時:2019年6月10日 15時