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階段で転んで擦りむいた膝から少しずつ血が流れる
特別痛いというわけでもなく
かといって全く痛いというわけでもない
地味に痛い嫌な感じが肌を刺す
｢やはりここに来たか｣
｢待ってたぜ記憶の核｣
あともう少しで屋上にたどり着く
そう思った途端
出入り口を塞ぐ2体のイマジンがAの前に現れた
急なことに動揺したAは無意識に後ずさる
A｢なんで……｣
イマジンの気配は先程から増えていない
それなのに知らない間に2体も増えている
一刻も早くその扉をぶち破ってでも倒したいヤツがいるのに
すぐには行けないもどかしさ
手段を選ばないイマジンのことだ
誰も守ってくれる人がいない
たったひとり孤立した状態でいるうちに
丸腰のAを殺そうと企んでいるのだろう
｢どうする？このまま俺たちに殺されるか？｣
｢俺たちに協力すれば命は奪わない｣
｢断ればどうなるかは…わかるだろ？｣
武器を振り回した状態でAに迫るイマジン
Aは一歩、また一歩と後ずさっていくが
ここは階段の踊り場の上
あと少しでも足を動かせばそのまま落下する
｢俺たちイマジンがちまちまと過去を変えるよりも｣
｢お前が過去を全て壊すことの方が遥かに簡単だ｣
｢お前を殺して変えることも出来るが…｣
｢生きていた方が色々と便利でな｣
過去も、未来も、自在に変えて
全ての時間に生きる人間の記憶を操り、存在を消す
特異点の存在も記憶の核を前にすれば無も同然
それを可能にするのがA
イマジンはそう思っているのだろう
これが本当か、そうではないのかは誰にも分からない
｢さぁ、どうする？｣
｢選ぶ時間くらいは与えてやる｣
イマジンに協力して命を助けてもらうか
イマジンたちの誘いを蹴って大人しく殺されるか
Aに突きつけられた選択肢はたったの2つ
どちらもシンプルでわかりやすい選択肢
Aはイマジンの言葉に一切反応することもなく
ただひたすらに下を向き
少し離れた場所で聞こえる戦いの音に耳を傾けた
A｢イマジンに協力して、過去も未来も全て壊す｣
A｢そうすれば……命は助けてもらえる｣
Aが下す答えは──
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作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年6月26日 11時
