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A｢(何それおかしいじゃない、2年前に振られたってことはもう姉さんと桜井さんは会ってるはず)｣
A｢(まさか…姉さんを婚約させるためにわざと？こんな……)｣
Aは黙って自分の服の袖を握りしめた
不快だ
喉の奥がグツグツと煮えたぎる
不快で不快でたまらないし
怒りが体の底から込み上げてくる
でもそんな時でも思い出すのが
桜井さんと一緒にいる時の愛理の笑顔
愛理にとっての本当の幸せは何か、よく知っているからこそ
この男の話す言葉の全てが気に食わない
A｢(こんなのラッキーでもなんでもない、こんな結婚で幸せになれる？ふざけてる)｣
穏やかで争いごとを嫌う良太郎と違って
どっちかというと勝気で短気な性格のAは
この話に困惑というよりも怒り
そして不快感という感情を強く抱いていた
藤代「さすがに婚約者から借金の取り立ては出来ないからな」
藤代「2年前のリベンジってわけじゃないけどこの店のこともよーく考えて、良い返事をお待ちしております」
それじゃ、と言うと
男は指輪の入った箱を置いて
店を出て行こうとした
その時だ
三浦「ちょっと待った！貴様…最初からそのつもりだな？」
尾崎「知ってますよ？おたくの会社の…黒い噂」
話を聞いていた三浦と尾崎が立ち上がった
普段はあんなだが2人は大人で
そして愛理を大切にしている常連客
大人しく黙ってるはずがない
でも2人の言葉になにも返すことなく
男は店をあとにした
良太郎「姉さん…？」
愛理は指輪の入った箱を閉めると
それを持ったまま歩き出した
愛理「良ちゃん、A、覚悟決めないとね」
その声色はいつもと違った
しっかりと芯のある声
A「姉さん…まさか」
良太郎「ちょっと、姉さん！」
走って店を出ていく愛理を
良太郎とA、そ三浦と尾崎が追う
こんなの絶対にいいことじゃない
本人が望みもしない結婚が、幸せだとは思えない
A｢(姉さん…まさか本当に結婚するつもりなの？)｣
それだけは何がなんでも止めたい
信じてる。
たとえ愛理の記憶から抜け落ちていようと
本当の婚約者である桜井さんが帰ってきてくれると
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作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年6月26日 11時
