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A｢桜井さんがそれでいいんだって、言ってくれた｣
A｢私だって大事な家族なんだよって｣
どうして前を向けたのか今でもよく分からない
はっきりと分かるのは
色々な思いを抱え込んだ自分を連れて
桜井さんが星を見せてくれたあたりから変わったということだけ
A｢なんだか不思議だった｣
A｢ずっと前にも桜井さんに会ってた気がした｣
下ばかり向いていたら
すぐそばにある幸せに気づかない
辛い時こそ上を見上げて見て欲しい
あの時、あの瞬間、Aに与えた言葉が今も
Aの中で変わらずに生きている
A｢何も喋れなかったのに｣
A｢桜井さんったら全然諦めてくれなかった｣
大きなショックから声を失い
何も喋れなくなり
ますます心を閉ざしていたA
しかし桜井さんはそんなのお構い無しに
Aに毎日毎日諦めることなく話しかけ続けた
あれもこれも全てAのことも
愛理や良太郎と同じように"家族"として思っていたからだろう
A｢話したって無駄だって思って逃げてたのに｣
A｢ちょっとしつこいくらい話しかけてきて、勝手に星の話を始めるんだもん｣
もう無理だ、絶対に変われない
そう考えるのが当たり前になっていたAを変えた
桜井さんの星への熱意と諦めない粘り強さ
後者は良太郎にも通じるものがある
Aがどうせ喋れない、とかなんとか
色んな理由をつけて拒絶し続けても
桜井さんは諦めるどころか何度も何度もAと向き合い
聞いてもいないのに星のことを話し始めAを巻き込んだ
今思うとちょっと…いや、かなり強引だった
A｢もう仕方ないって思って聞いてたけど｣
A｢段々思うことが変わってきたんだ、色々｣
自分はここにいていいのか
自分は一体何なのか
全てがわからなくなっていたAを変えたのは
特別な言葉でも何でもなく
幼馴染みのお姉ちゃんの婚約者の謎の粘り強さと星への熱意
というわけのわからないことがきっかけで
A｢この人と話してみたい、話さなきゃって思った｣
A｢もっと聞きたいって｣
愛理も、良太郎も、桜井さんも
Aにとっては同じくらい大切な存在で
今の自分がいるのはこの3人のおかげ
誰が欠けてもダメだった
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作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年6月26日 11時
