嫌いな貴方を愛してる【時透無一郎】

九話 ページ34

『じゃあ…甘える…』


良かった。


僕は無意識のうちに


拒否されたら…なんて考えてしまっていた。


無「いいよ」


『手…繋いで』


手？


手、繋いでいいの？


女の子の手を繋ぐなんて、小学校以来一度もしてないよ。


無「分かった」


即答かよ！！僕は本当は変態なのかもしれない！！


ｷﾞｭ


あ、あったかい。


『無一郎の…手冷たいね』


そうかな？僕は普通。


無「蒼依の手が熱いだけだよ」


なんだこれ。


まるで幸せなカップルみたいじゃないか。


僕に、幸せになれる権利はあるのだろうか。


『好き』


無「え？」


『私は大好きだよ…』


突然言われた。


これが不意打ちってやつか。


無「知ってる」


それでも僕はぶっきらぼうに返す。


『無一郎…好きだよ…』


僕も好き。


大好き。


いつから好きだったかなんて覚えていないくらい。


好き。


好きなのに…


なんで言えないんだろう。


僕にAと付き合う資格はないのかもしれない。


いつかはAに振られるかもしれない。


だけど愛してるよ。


ずっと愛してるよ。


愛してるって、言えなくって、





…





無「ごめん」






はっ！今声に出てた！？


聞かれてたかな…！？



『ｽｰ…ｽｰ…』


良かった。寝ていた。









ﾌﾟﾙﾙﾙ


ﾌﾟﾙﾙﾙ


ｶﾞﾁｬ


母《はいもしもし》


無「あの、すみません。Aが寝てしまったんですけど…」


母《そうなの？あら…今日はありがとうね。帰ってもらっても大j》


無「いえ…あっ、被せてしまってすみません。」


母《いいのよ。なにかしら？》









無「あの…Aの傍にもう少しいてもいいでしょうか…？」





母《もちろんいいわよ。ごゆっくりね。どうせならAの隣で寝ても…》


無「寝てる人に対してそれは卑怯じゃないですか…！？」


母《そうね。帰りたくなったら帰ってもらって大丈夫だからね。》


無「はい。分かりました。ありがとうございました。」


母《はーい》


ｶﾞﾁｬ







無「…寝てる人に対して…これは卑怯だと思うけど…」





無「これは言い訳だと思うけど…」









無「君が起きている間に出来ないことを、今…していいかな。」



ﾁｭ









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ｶﾞﾗ



無「お邪魔しました…！」









無「ごめんねA。こんな男で。」

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