嫌いな貴方を愛してる【時透無一郎】

八話 ページ33

そう言えば。


Aの家に来るのは初めてだ。


来てもらったことは何回かあるけど。






ピンポーン


この待っている時間が一番緊張する。


母「お入り」



無「お邪魔します」


『邪魔すんなら帰って〜』


拒否された。


無「お邪魔しました〜」


母「何言ってんの。早よ入りぃ」


あ、そんなことなかった。


無「お邪魔します(二回目)」


母「無一郎君もいるからちょっとだけ仕事行ってくるね」


ん？A兄妹いないよね…？


じゃあ…今この家でふたりきr『行ってらっしゃｲｯｸｼｮﾝ!』


無「クシャミ独特…」




『そうだ。私の部屋来なよ。玄関で話すのもなんだし。』


無「ありがとう」







ｶﾞﾁｬ



無「わぁ…」


ここがAの部屋か…


いい匂いする…


『へへ、散らかってるでしょ？』


無「いや全然。僕の部屋の方が汚いし。」


さっきの【へへ、】ってなに！？殺す気！？


全っ然散らかってないし！！


『無一郎の部屋綺麗でしょｯｸｼｭ！！』


無「触手？」


『ごめんクシャミ』


無「…そうだ。横になりなよ。」


『じゃあお言葉に甘えて…』


無「僕氷嚢差し入れに持ってきたんだ。」


『珍しい差し入れ…』


無「じゃあ行ってくる」


『無一郎』


無「何？」


『何で来てくれたの？』


無「…禰豆子に言われたから」


ダメ男の象徴になりたいのかな僕


『そっか。でもありがとう。嬉しいよ』


また僕が…




…そうだ。禰豆子からの手紙を


無「そういえば禰豆子から手紙」


『禰豆子から？やったぁ…

ん？文面いつもと違う…』


〜〜〜





Aは手紙を閉じた。


読むの早いなぁ


『無一郎…泣きそう…』


無「どうしたの？」


『私はいい友達を持った…あっやべ、涙出てきた』


無「そんなにいい文だったの？」


『うん、明日ありがとうって言わなきゃな〜…』


少し、きつくなってきているように見えた


無「…大丈夫？」


『…熱いけど寒い…』


思っていたより…きつかったんだね


無「何かしてほしいことあったら言ってね。今日は甘えていいよ」


今日は流石に…言わなきゃならない


『な…んで？』


無「え？」


『何でそんなに優しくしてくれるの…？』


無「…泣かないでよ。大切だからに決まってるじゃん」


沙夜、やっと言えたよ。



言えた。









今日こそは言える。



そう、思ってたんだ。

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