悪女になれない悪女さん

にじゅうよんわ ページ25

『で、何があったの？隊に入る前でも入った後でも何でもいい』


愛「でも上手く話せないし…思い出す度悲しくて……！！ｸﾞｽｯ」


『ゆっくりでいい！ちゃんと泣こうな！ここで泣いたらもう泣くな！
悲しいときはご飯を味わえないし、涙でご飯しょっぱくなると結構つらいから！
あと君は可愛い！とても！だから笑顔が一番やよ』


愛「ありがとうございます。じゃあ…」


私は話した。親は自分のせいで死んだこと、鬼の男に騙されたこと、その他もろもろすべて




『なるほど……柱になるまで何してたの？』


愛「それが覚えてなくて…」


『……十分。前の任務で鬼の攻撃避けきれてたけどあれ実際私は天ちゃんが避けるまで見えなかったし…強いわけだ
腕も細いのにしっかりしてて、刀傷じゃない傷跡ばっか…』


愛「あれ？本当だ…」


『頑張ったんだね』


愛「そう…かな…涙が止まんない…どうしよう……」


『きっと鬼に対しての怒りの方が大きかったけどいつの間にか、二番目に大きかった承認欲求が残ってしまったんだ』


愛「私…自分の頑張りも無駄にしちゃってたんだ…本当に馬鹿じゃん」


『その分貢献すればいい』


愛「でも…」


『過去は変えれないし未来はもう決まってるかもしれないけど自分は変えられる
自分が変われば未来はゆっくり変わってくよ
それがいい方向に進めば暗い過去すらも笑えるよ

そんな未来はきっと一人じゃない』


初めてだ


自分を叱ってくれたのはこの人が初めて


両親は私の事を肯定しかしてくれなかったし

諭してくれなかった


友達もいなかった

ずっと一人で…


自分が全部無くしてしまったもの

苦手なものは拒んで、否定して、そんな自分と向き合ってくれて叱ってくれる


そんな人は初めてだった。



愛「じゃあ…信じていい？」


『うん。いいよ』


愛「私Aちゃんの全部、信じていい？」


『ちょっと重い気もするけど。いいよ』


愛「でも私、これからも一人かもしれないよ……？」


『大丈夫。一人で泣いてるなら隣で笑わせてあげる
見てもらえないなら私が見てあげる
聞いてもらいたいなら私が聞いてあげる

誰かに愛して欲しいなら、私が一番愛してあげるから』




愛「Aちゃん…」


この後食べたご飯は少し塩辛かったけど、美味しかった

なんでだろう
こんな夜は初めてではない気がした

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