83. ページ36
.
「観察力はセンラ君に敵わんなあ。
よく人のことを分かってる。」
「まあ、何千年と人を見てきたらねえ…。
そうもなりますわ。」
自嘲気味に笑うセンラ君は唯一、体が能力使いの子。何千年も生きているらしく私と同じく年を数えるのをやめたと言っていた。どちらが年上かは知らない。拾った時には幼子だったのだが、何かの拍子に能力が抜けてしまい幼児化していただけらしい。
「奏音さんもご存じの通り僕たちは外の世界を見たいと嘆いたお嬢様をこんな危険な場所に連れてきました。それが彼女の望むことかは事前に確認を取ったんですけど。外の世界を見られるなら他に臨みなんてないっていうのが彼女の答えでした。」
センラ君の見透かすような目。何度この目に心を見透かされてきただろうか。
「あとは奏音さんが聞いたことが全てです。
あの子はこんな危険な場所でも物怖じもせず、お嬢様であったことを盾にもせず、僕らの考えにも賛同して活動に参加してくれています。」
「俺やってこんな活動にあんなええ子を巻き込むのはって引け目に思ってたけど、彼女は一生懸命俺らに合わせようとしてくれた。こんな活動してるのに受け入れてくれた。だったら彼女の思いに俺らも応えていかんと。第一奏音たんが帰ってきた時に彼女の想いを俺らに伝えてくれたやん。」
「もし彼女が俺たちのところにいるのが嫌というのならそれはそれで受け入れていくつもりです。彼女はXYZに来た以上、俺たちの家族ですから。」
立派なこと言うようになったな。自分が育てたとは思えへんほどどいつもこいつもいい子に育って。感動した。こんな立派なこと言ったあと酔ってその場で3人とも寝てたのは見ていないことにしてやろう。いつもなら怒鳴ってた。
深夜の方が動きやすいというアザラシさんに連絡を入れて明日以降に始める魔法訓練について相談するのだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 346人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陽菜(プロフ) - 死蝶さん» コメントありがとうございます。番外編も…！番外編は本編では描けなかったちょっとした小ネタ集ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年5月18日 20時) (
レス) id: a3a4b2e9d4 (このIDを非表示/違反報告)
死蝶(プロフ) - 初コメ失礼しますっ！すんごい好きです！番外編も読ませて頂いてます！これからも更新楽しみにさせていただきます^^* (2020年5月17日 17時) (レス) id: 39831eb652 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：陽菜 | 作成日時：2020年5月11日 12時
